セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病)1

タイトル 消P-499:

クローン病のInfliximab効果減弱例に対する倍量投与~当科における治療成績~

演者 遠藤 克哉(東北大病院・消化器内科)
共同演者 高橋 成一(東北大病院・消化器内科), 奈良 志博(東北大病院・消化器内科), 松下 勝則(東北大病院・消化器内科), 平本 圭一郎(東北大病院・消化器内科), 宮澤 輝子(東北大病院・消化器内科), 下平 陽介(東北大病院・消化器内科), 諸井 林太郎(東北大病院・消化器内科), 長澤 仁嗣(東北大病院・消化器内科), 志賀 永嗣(東北大病院・消化器内科), 木内 喜孝(東北大高等教育開発推進センター), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【背景】Infliximab(IFX)はクローン病(CD)に対し高い寛解導入・維持効果を発揮するが、効果減弱例や二次無効例の存在が問題となる。効果減弱例に対しては、1回投与量の増量(通常の5mg/kgから10mg/kgへの増量:以下倍量投与)が2011年8月より保険適応となった。今回、当科におけるCDに対するIFX倍量投与の短期的治療成績を解析した。【対象】2011年8月~2012年3月までの間、当科でIFX倍量投与を行ったCD 12例。【方法】治療効果の評価基準としてCRP値、Harvey-Bradshow index(simple CDAI: 以下sCDAI)を用いた。IFX倍量投与前後(倍量投与8週前・4週前・倍量投与直前・倍量投与4週後・8週後)のCRP値、 sCDAIを診療録より抽出し、IFX倍量の治療効果をretrospectiveに検討した。【結果】対象12例のIFX倍量投与時の平均年齢は36.8歳、平均罹病期間は11.8年、IFX初回投与から倍量投与までの平均期間は45.2か月であった。倍量投与4週後・8週後の平均CRP値、平均sCDAIスコアは倍量投与直前に比べ低下する傾向にあったが、統計学的有意差が認められたのは8週後のsCDAIスコアのみであった(p<0.05)。また、倍量投与前の最終の通常量投与時には、投与8週後の平均CRP値、平均sCDAIスコアは投与前よりむしろ上昇していたのに対し、倍量投与を行った場合には低下がみられた。なお、倍量投与4週後または8週後に、投与前と比しCRPが上昇する症例が4例認められたたが、臨床背景に明らかな特徴は見いだせなかった。【考察】倍量投与によりCRP値、sCADIスコアともに改善がみとめられ、倍量投与の短期的な有効性が確認された。しかし、一部で効果の限界を示唆する結果も示され、倍量投与有効例の特徴を追求することが今後の課題と考えられる。また、倍量投与から30週後程度の長期的成績については未だ症例の集積が十分でなく、今後検討すべき課題と考える。
索引用語 クローン病, infliximab