セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病)2

タイトル 消P-504:

当院におけるクローン病に対する生物学的製剤導入症例の検討

演者 小川 和昭(大同病院・消化器科)
共同演者 榊原 聡介(大同病院・消化器科), 藤城 卓也(大同病院・消化器科), 野々垣 浩二(大同病院・消化器科), 印牧 直人(大同病院・消化器科)
抄録 【目的】クローン病に対し、発症早期からインフリキシマブを導入する治療方法(Top down療法)が提唱され、またインフリキシマブと免疫抑制剤の併用により上乗せ治療効果、さらにはインフリキシマブの自己抗体抑制、infusion reactionや効果減弱を軽減できる点からもその有用性が報告されている。当院においても積極的にTop down療法を取り入れており、今回その治療成績と問題点について検討した。【対象と方法】対象は、2009年1月から2012年3月までに当院でインフリキシマブを導入した8例。全例男性で、平均年齢は28±10歳(17-48歳)。病型は、小腸型1例、大腸型2例、小腸・大腸型5例であった。平均観察期間は591±291日(206-1112日)。インフリキシマブは5mg/kgを0、2、6週の投与後、8週毎の計画的維持投与を施行。8例中7例でアザチオプリン(50-100mg)投与を併用した。6例がナイーブ症例で、2例は前治療がステロイドであった。【結果】インフリキシマブ導入により、CDAIスコアは全例で改善し、臨床学的寛解を得られた。内視鏡所見では、6例で内視鏡学的寛解維持を得られた。血液検査学的所見では、治療前:後で、CRP(5.97±6.33:0.48±0.78)、Hb(10.0±1.2:13.7±0.8)、Alb(3.1±0.4:4.3±0.6)、T-chol(122±21:154±32)と改善を認めた。副作用では、インフリキシマブ投与10ヵ月後で薬剤性ループスを1例で認め、インフリキシマブを中止、アザチオプリン投与にて寛解維持を得ている。1例infusion reactionが出現したが、投与速度の調節で現在も継続投与中である。前治療でステロイドを投与していた2例は、2例ともステロイド漸減、中止することができた。【結語】当院では、積極的にTop down療法を導入することにより高い治療効果を得ることができた。観察期間が短いため、今後、投与継続の是非と、副作用出現の有無について検討していくことが課題である。
索引用語 クローン病, 生物学的製剤