セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病)2

タイトル 消P-507:

活動期クローン病におけるアダリムマブの有効性の検討

演者 園田 光(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
共同演者 吉村 直樹(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 唯見 徳馬(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 河口 貴昭(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 酒匂 美奈子(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 高添 正和(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
抄録 【目的】生物学的製剤アダリムマブ(ADA)の保険認可により既存のインフリキシマブ(IFX)不耐、二次無効症例における活動期クローン病(CD)患者の寛解導入率の向上が期待できる。今回、ADAを導入したCD症例の治療成績を検証し有効性と安全性について検討した。【方法】2010年12月以後に当院にてADAを導入した活動期CD症例39例(平均年齢:32.4±9.9歳;平均罹病期間:10.4±7.8年;手術既往例21例)を対象としIFXナイーブ症例、不耐、二次無効症例におけるADAの有効性についてCDAIを用いて検討した。【成績】ADA導入4週後の有効性を検証すると39例中著効(CDAI<150)8例(20.5%)、有効(70ポイント以上のCDAIの低下)18例(46.2%)、無効13例(33.3%)であり2/3が有効であった。IFX治療歴の有無(平均IFX治療期間:23.7±20.3ヵ月)で検証するとa)IFXナイーブ例5例、b)IFX一次無効例3例、c) 二次無効例12例、d)IFX不耐例18例、e)その他1例あり、各々の有効率はa)群5/5(100%)、b)群1/3(33.3%)、c)群6/12(50%)、d)群13/18(72.2%)でありIFXナイーブ例は全例有効であったが、一次、二次無効例はADAにスイッチしても高い有効性を認めなかった。手術既往、免疫調節剤の有無による有効率に差は認めなかった。6ヵ月間経過観察可能な32例における0、4、8、26週の平均CDAIは261→175→179→162と推移したが、更にA)IFXナイーブ群4例とB)非ナイーブ群28例の2群に分けて検証するとB群は265→183→187→176までの低下であったが、A群は236→121→113→71まで低下し(CDAI<150)、2群間で有意差を認めた(p<0.05)。また、8、26週後の寛解維持率はA群はいずれも100%であったが、B群は46.2%、36.8%でありIFXナイーブ例は全例が6ヵ月間寛解維持していた。有害事象として注射部反応を4例に認めたがいずれも軽微であり継続投与が可能であった。【結論】IFXナイーブ活動期CD症例におけるADAの早期導入は寛解導入率、維持率の向上に寄与する有用で安全な治療戦略と考えられた。
索引用語 クローン病, アダリムマブ