セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

胃 運動①

タイトル 消P-96:

噴門側胃切除・ダブルトラクト再建術後の残胃運動機能評価

演者 林 智彦(金沢大大学院・がん局所制御学)
共同演者 宮下 知治(金沢大大学院・がん局所制御学), 木南 伸一(金沢大大学院・がん局所制御学), 伏田 幸夫(金沢大大学院・がん局所制御学), 藤村 隆(金沢大大学院・がん局所制御学), 三輪 晃一(金沢大大学院・がん局所制御学)
抄録 【目的】噴門側胃切除・ダブルトラクト再建(以下PG)術後の残胃運動機能を胃電図を用いて評価した.【方法】術後1年以上経過したPG 18例と、胃疾患・消化器症状を有さない12例(以下N群)の胃電図をニプロ胃電計を用いて記録した.PGは全例左噴門郭清に伴い幹迷切がなされている。検査前夜より絶飲食とし、早朝より安静座位で空腹時30分、さらに高カロリー栄養剤摂取後60分の間、time constant 1sec・high cut off 8.6cpmの条件で記録した.高速フーリエ解析を行い、食前後の正常周波数帯の占める割合(%3cpm)、食前後の最も多い周波数(DF)、食前後のDF比(FR)、食前後間での振幅比(PR)を求めた.【結果】食前の%3cpmはPG群30±20%・N群76±10%、食後の%3cpmはPG群43±21%・N群83±7%であった。また食前DFはPG群1.9±0.5cpm・N群2.9±0.2cpm、食後DFはPG群2.2±0.4cpm・N群3.0±0.2cpm、PRがPG群1.5±0.8・N群2.5±0.8と、FR以外のすべてのパラメーターでPG群はN群より有意に低値であった.次にPG群において、温存幽門側残胃の大弯の長さと各パラメーターとを比較すると、FR以外の全てに正の相関が認められた.相関係数は、食前%3cpm: r=0.772・食後%3cpm: r=0.723・食前DF: r=0.675・食後DF: r=0.752・PR: r=0.664であった.Mann-Whitny U testでP値が最小となる点を残胃サイズの分岐点とすると、いずれのパラメーターにおいても10cm未満には分岐点は存在しなかった.【結論】残胃の大弯の長さが10cm未満となるような場合は残胃の運動が不良となるため、噴切を適用する意義が少ないと考えられた.
索引用語 胃, 消化管