セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病)3

タイトル 消P-508:

クローン病に対するAdalimumab投与例の検討

演者 久多良 徳彦(八戸赤十字病院・消化器科)
共同演者 大泉 智史(八戸赤十字病院・消化器科), 塚原 智典(八戸赤十字病院・消化器科), 鈴木 歩(八戸赤十字病院・消化器科), 牛尾 晶(八戸赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】クローン病(CD)に対する2剤目の生物学的製剤として、2010年に本邦でもAdalimumab(ADA)が保険収載された。当院におけるCDに対するADA投与例の臨床的な検討を行った。【対象・方法】2011年2月から2012年2月までの間にADAを導入したCD 10例(男性6例、女性4例、平均年齢34.2歳)を対象とした。ADAは初回に160mg、初回投与2週後80mgを皮下注射し、以後2週ごとに40mgを皮下注射した。効果判定は、内視鏡所見と臨床的活動度(CDAI)にて評価しCDAI値150未満を寛解と定義した。 【結果】ADA投与例の病型は、小腸大腸型:7例、小腸型:2例、大腸型:1例であった。平均罹病期間は69.6カ月(2~241カ月)であり、手術歴は3例に認められた。また、肛門部病変は4例に認められ、ろう孔合併例は認められなかった。併用薬として5-ASAは全例で投与しており、ステロイド併用は4例認められるが、ADA導入後はステロイドを中止した。Infliximabからの切り替えは2例で、免疫調節薬の併用は1例であるがADA導入後に免疫調節薬を中止した。ADA投与の目的は、寛解導入3例、寛解維持5例、Infliximab無効2例であった。12週後まで経過をみた7例のCDAI値の推移は、治療前199のCDAI値がADA投与2週後には94まで有意に低下し、その後70台で推移、全例で寛解を維持している。ADA投与前後の内視鏡所見6例の評価では、粘膜治癒した著効例:5例、潰瘍縮小の有効例:1例、 不変、増悪例は認められなかった。副作用は1例で軽度の発疹が認められたが、Infusion reactionなど重篤な副作用は認められず、副作用による中止例は認められなかった。【結語】少数例、短期間であるが、CDに対する寛解導入、寛解維持に関しては、良好な治療成績と考えられた。 ADA投与後1例で軽度発疹が認められたがInfusion reactionなどの重篤な副作用は認められず、全例自己注射可能であり安全性、受容性ともに高い治療と考えられた。今後は罹病期間の長い症例やろう孔など腸管合併症を有する症例に対する治療と長期成績について検討が必要と思われた。
索引用語 クローン病, Adalimumab