セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

NASHからの発癌:基礎と臨床

タイトル 肝S8-13:

非アルコール性脂肪性肝障害を基盤とした肝細胞癌に関する性差を鑑みた病理組織学的検討

演者 谷合 麻紀子(東京女子医大・消化器内科)
共同演者 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)を基盤とした肝細胞癌(HCC)(NAFLD-HCC)の研究が集積されつつある。NAFLDの病態には性差が大きいことが知られ、今回NAFLD-HCCの癌部および非癌部肝組織の性差を鑑みた病理学的特徴を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】当院で経験したNAFLD-HCCで、癌部および非癌部肝組織を採取しえた34例[女性12例、男性22例、HCC発癌時年齢[中央値(range)]女性70(56-75)歳、男性70歳(41-81)]を対象とし、1)非癌部・癌部の特徴、2)背景肝組織と癌の関連、3)性差 に関して病理組織学的に検討した。【成績】1)非癌部・癌部の特徴;非癌部における特徴的組織所見の出現頻度は、線維化F0-11 2%、F2 21%、F3 15%、F4 53%、steatosis軽度50%、中等度38%、高度12%、中等度以上の実質炎35%、Mallory体91%、hemosiderosis 50%、中等度以上の門脈域炎症9%であった。癌部は、分化度; 高分化21%、中分化70%、低分化9%、組織型; 索状型70%、管状型15%、 塊状型3%、 針生検組織のため判定不能12%であった。癌部における特徴的組織所見の出現頻度は、中等度以上のsteatosis 36%、Mallory体59%、 癌細胞ballooning 56%、中等度以上のpericellular fibrosis 30% で、高分化HCCではそれぞれ57%、 71%、 71%、 43%と高頻度であった。2)背景肝組織と癌の関連;非癌部からみたHCCの特徴では、低分化HCCの頻度は非肝硬変では13%、肝硬変では5%と有意差を認めた。癌からみた背景肝の特徴では、HCC診断時多発7例の非癌部はF4 86%、単発27例では 44%と有意差を認めた。3)性差;線維化F4の頻度(女性83% vs男性36%)とHCC診断時の多発率(女性33% vs 男性14%)に性差を認めた。【結論】NAFLD-HCCでは、非硬変肝からの発癌の頻度が高く、癌部組織ではsteatosis、Mallory体を高頻度に認めた。また、その特徴には性差があった。
索引用語 非アルコール性脂肪性肝障害, 肝細胞癌