セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器がん検診学会合同)

NASHからの発癌:基礎と臨床

タイトル 肝S8-14:

NAFLD/NASHを背景とした肝細胞癌切除症例の再発と死亡

演者 木村 岳史(信州大・消化器内科)
共同演者 宮川 眞一(信州大・消化器外科), 田中 榮司(信州大・消化器内科)
抄録 [目的] NAFLD/NASHを背景としたHCC切除症例の再発と死亡に関連する因子を明らかにする. [方法] 1999-2012年に当院及び関連病院で肝切除術を施行された初発HCC症例のうち,以下を全て満たす症例を対象とし検討を行った;1)HBsAg/HBcAb/HBsAb/HCVAb陰性,2)アルコール摂取量20g/日以下,3)背景肝に5%以上の脂肪沈着,4) 臨床病理学的にAIH・PBCが否定的. [成績] 症例数は26例(男性24例).観察期間の中央値は1866±1158日.年齢は71±7歳.BMIは25.2±4.DM/HT/HL/HUの合併率は81/58/27/8%.術前の臨床検査値はPLT16±7万,PT99±21%,ALB4±0.4g/dl,ALT37±25IU/l,GGTP88±85IU/l,HOMA-IR5.4±8,HbA1c6.5±1.2%,TC186±34mg/dl,Ferritin184±390ng/ml,AFP12±1974ng/ml,DCP92±52988mAU/ml,ICG12±6%,Child-Pugh score5点24例/6点2例.TNM分類I/II/IIIは17/6/3例,腫瘍単発/多発は18/8例,腫瘍最大径は4±2.7cm,被膜形成/被膜浸潤/脈管浸潤/肝内転移陽性は14/7/1/0例,腫瘍分化度は高/中/低分化が14/10/2例,術式は核出/亜区域/区域/葉切除が10/8/6/2例.背景肝はNAS1/2/3/4/5/6が1/10/5/6/3/1例,F0/1/2/3/4が6/1/9/2/8例.再発は12例(46%)に認め,再発率は1/3/5/7/10年で0.20/0.55/0.55/0.68/0.68.χ2乗検定ではTNM分類(P=0.006),多発(P=0.02),最大径5cm以上(P=0.02),分化度(P=0.02)が,Kaplan-Meier法(log-rank検定)ではTNM分類(P<0.001),多発(P=0.01),最大径5cm以上(P<0.001),術式(P=0.02)が,Cox回帰解析ではTNM分類(P=0.02,Odds比10.5),最大径5cm以上(P=0.03,Odds比10.2)が再発に関連する因子であった.死亡は計8例(31%)(肝臓死6例,他病死2例)に認め,生存率は1/3/5/7/10年で0.96/0.86/0.75/0.66/0.66.Mann-Whitney U検定・χ2乗検定ではDM(P=0.04),HT(P=0.02),再発までの期間(P=0.04)が,Kaplan-Meier法ではHT(P=0.007)が死亡(肝臓死)に関連する因子であった. [結論] 再発にはTNM分類,多発,最大径5cm以上,分化度,術式が,死亡にはDM,HT,再発までの期間が関連する因子と考えられた.
索引用語 NAFLD/NASH, HCC