セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病)5

タイトル 消P-520:

T-RFLP法による小児炎症性腸疾患患者の腸内細菌叢の解析

演者 青松 友槻(大阪医大・小児科)
共同演者 余田 篤(大阪医大・小児科), 安藤 朗(滋賀医大大学院・感染応答・免疫調節部門(消化器免疫)), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【目的】腸内細菌は免疫系の恒常性維持に重要である。腸内細菌叢の変化と炎症性腸疾患(IBD)の発症や増悪との関連が指摘されているが、小児では殆ど解析されていない。T-RFLP法は、全腸内細菌が有する16S rDNAのPCR産物を制限酵素処理した時にできる断片のパターンから、腸内細菌叢を概ね属レベルでプロファイリングする技術である。今回、T-RFLP法を用いて小児IBD患者の腸内細菌叢を解析した。【方法】健常児27人(5.4±3.7歳)と臨床的寛解期のIBD患児(潰瘍性大腸炎(UC)14人、11.6±2.4歳、クローン病(CD)10人、12.9±5.0歳)の糞便からDNAを抽出した。T-RFLP法(Nagashima法)により腸内細菌叢をプロファイリングし、クラスター解析及び各断片の蛍光強度解析を行った。【結果】健常児とUC患児の腸内細菌叢プロファイルから作製した樹形図は3つのクラスターの分かれ(I~III)、両者ともクラスターI優位に3つ全てに分布を示した。健常児とCD患児の樹形図も3つのクラスターに分かれたが(I~III)、健常児は27人中21人がクラスターIIIに分布を示したのに対してCD患児は10人中9人がクラスターIまたはIIに分布した。各断片の蛍光強度解析にて、UC、CDともにClostridium cluster IVの有意な減少を認め、特にCDで顕著であった。【考察・結論】UC患児の腸内細菌叢は健常児と似ているがCD患児では異なっていることが明らかになった。IBD患児(特にCD)で減少を認めたClostridium cluster IVは腸炎抑制作用を有するといわれており、腸内細菌叢の変化が腸炎の増悪に関与している可能性がある。また、今回の解析結果は成人患者と同じ傾向であり、IBDにおける腸内細菌叢の変化は小児期にすでに生じていることが示唆される。腸内細菌叢の決定には環境因子が重要であり、小児をとりまく環境の変化が本邦におけるIBD患者数の爆発的な増加の一因と推察された。
索引用語 炎症性腸疾患, 腸内細菌