セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(クローン病)5 |
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タイトル | 消P-523:クローン病患者の手術頻度および腸管短縮に対する免疫調節薬の効果の検討 |
演者 | 坂谷 慧(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科) |
共同演者 | 藤谷 幹浩(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 田中 一之(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 堂腰 達矢(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 安藤 勝祥(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 嘉島 伸(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 富永 素矢(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 稲場 勇平(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 伊藤 貴博(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 岡本 耕太郎(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 田邊 裕貴(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科), 河野 透(旭川医大・消化器病態外科), 古川 博之(旭川医大・消化器病態外科), 高後 裕(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科) |
抄録 | 【目的】クローン病(CD)は原因不明の慢性炎症性腸疾患であり,複数回の腸管切除や炎症による粘膜損傷と再生を繰り返すことにより腸管が短縮し,短腸症候群をきたす例が少なくない。以前より,免疫調節薬による寛解導入・維持効果,術後再発の予防効果については報告されてきているが,手術頻度や腸管の短縮に対する有用性については十分に明らかにされていない。本研究では,CD患者の腸管手術の頻度,腸管長の短縮に対する免疫調節薬の効果を明らかにする。【方法】過去20年間に当科で診療したCD患者104例の腸管手術(腸管切除,狭窄形成,人工肛門造設)の累積非手術率および術中の残存腸管長と,治療法,患者背景との関連性をレトロスペクティブに検討した。【成績】104例中69例(のべ134回、66%)に腸管手術が行われていた。累積非手術率をKaplan-Meier法で解析し,Logrank法にて検定したところ,非手術期間(初回手術までの期間,または手術から再手術までの期間)に免疫調節薬を投与していた群では,非投与群と比較して非手術期間の延長が有意にみられた(p<0.01)。その他,抗TNF-α抗体の投与群,大腸型でも非手術期間の延長がみられた(p<0.01)。腸管長を計測しえた68回の手術について罹病期間と残存腸管長の関係を検討した結果,回帰式はy = -0.5532x + 360.72であり,発症から24年で短腸症候群のリスクファクターと言われる残存腸管長200cm以下に達すると推定された。免疫調節薬の投与群と非投与群ではいずれも残存腸管長200cm以下に達するまでは24年と推定され,延長効果は認められなかった。【結論】単施設レトロスペクティブ研究の結果から,免疫調節薬は非手術期間を延長するが,短腸症候群に至るまでの期間の延長効果は持たない可能性が示唆された。 |
索引用語 | クローン病, 短腸症候群 |