セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(クローン病)5

タイトル 消P-524:

生物学的製剤によるクローン病治療とNAFLDについての検討

演者 加賀谷 尚史(金沢大附属病院・消化器内科)
共同演者 稲田 悠記(金沢大附属病院・消化器内科), 西川 智貴(金沢大附属病院・消化器内科), 羽柴 智美(金沢大附属病院・消化器内科), 宮澤 正樹(金沢大附属病院・消化器内科), 鷹取 元(金沢大附属病院・消化器内科), 北村 和哉(金沢大附属病院・消化器内科), 山下 太郎(金沢大附属病院・消化器内科), 酒井 佳夫(金沢大附属病院・消化器内科), 山下 竜也(金沢大附属病院・消化器内科), 水腰 英四郎(金沢大附属病院・消化器内科), 酒井 明人(金沢大附属病院・消化器内科), 本多 政夫(金沢大附属病院・消化器内科), 田中 延善(福井県済生会病院・内科), 金子 周一(金沢大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】炎症性腸疾患(IBD)治療の進歩につれて、『クローン病(CD)症例であっても肥満例を認める』といった臨床像の変化があり、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が増加しているとの指摘がある(Christopher E et al. Inflammatory Bowel Diseases 2012)。本邦においても、生物学的製剤を用いたCD治療は、目覚ましい治療効果をもたらし、患者のQOLの向上につながっている。その一方で、栄養状態の改善に伴う脂肪肝など肝疾患に関する検討は少ない。【方法】当院並びに関連1施設において、生物学的製剤(infliximab,IFX)を用いて治療を行ったCD症例の、疾患活動性(CDAI)、体重、肝機能検査成績を投与前後で比較した。また肝組織学的評価を施行しえた症例の病理像を検討した。【結果】上記施設でのIFX投与中症例のうち、導入から54週以上経過し各種検査成績を集積しえた39例を対象とした。男性28例、女性11例、平均年齢29.6歳。病変部位は、小腸型16例、大腸型7例、小腸大腸型16例。IFX開始までの平均罹病期間73.6か月。54週時点で寛解維持例は30例76.9%であった。IFX投与によって、32例82.1%で体重が増加し、BMI>25となった症例は5例12.8%であった。投与前と比較しAST or ALTが10以上増加した症例は6例15.4%で、AST/ALT<1.0となった症例は12例30.8%であった。肝障害を認め、肝生検を施行し組織学的評価をしえた症例は2例あるが、両症例とも組織像はBrunt grade 1、stage 1であった。【結論】IFXを用いたCDでは、体重、BMIの上昇を認めた。それに伴いAST/ALT<1となり、NAFLDが示唆される症例が30%存在した。肝障害を認めた2例の症例では、線維化の出現を認めた。CDの治療対象症例が若年であることを考慮すると、今後の線維化の進行に留意し生活習慣病への介入も含めた長期管理が必要となる可能性が示唆された。
索引用語 クローン病, NAFLD