セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)1

タイトル 消P-528:

潰瘍性大腸炎における日和見感染症の検討

演者 檜沢 一興(九州中央病院)
共同演者 工藤 哲司(九州中央病院), 畑田 鉄平(九州中央病院), 守永 晋(九州中央病院), 松本 主之(九州大・病態機能内科), 飯田 三雄(九州中央病院)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎における日和見感染症の臨床像を明らかにする.【方法】過去3年間に当院で入院加療した潰瘍性大腸炎27例のうち8例に対して日和見感染症の治療を行った.日和見感染症を合併した感染群8例と非感染群19例を対象に潰瘍性大腸炎の臨床像を比較検討した.【成績】日和見感染症はCytomegalovirus enteritis (CMV) 5例、Invasive aspergillosis (IA) 1例、Listeria meningitis (LM) 1例、Herpes esophagitis (HE) 1例、Cutaneous mycobacteriosis (CM) 1例、Clostridium difficile enteritis (CD) 1例であった.IA症例は80歳女性で、PSL強力静注2週後にCMVを合併しGCVで治療した.AZA50mgを併用後PSL15mgまで漸減したが、第15病週に多発性脳塞栓症を発症し、第20病週にCMVが再燃しGCVで治療した.bDGが上昇しfFLCZを投与したが第24病週に脳出血で死亡し、剖検にてIAが死因と判明した.LM症例は72歳男性で、強力静注3週後にHEを発症しACVで治療した.PSL20mgまで漸減したが退院2週後にLMを発症した.高度の意識障害を認めたがPAPM/CTRX投与で軽快した.CM症例は47歳男性で、2年間に3回の入院治療を要しAZA100mgを併用した.PSL27.5mgへ減量中に陰部潰瘍が出現し、塗抹で抗酸菌を認めた.INH/RFP/EBで治癒し培養にてM.zsulgaiが判明した.非感染群のうち12例中2例はC7HRP陽性だったが、経過が良いためGCVは投与せずC7HRPも陰性化した.感染群8例中7例はC7HRP陽性歴があり、5例はCMVのためGCVによる治療を要した.CMV5例のうち2例は再発のためGCVを再投与し、うち1例は反復感染し難治化した.以上、感染群は非感染群に比較して罹病期間に差はなかったが(4.2 vs 4.7年)、年齢は高く(57.5 vs 37.6歳)、全大腸炎型が多かった(8/8 vs 12/19).感染群ではPSLの投与歴が高く(8/8 vs 9/19)、AZA併用例が多かった(4/8 vs 1/19).【結論】PSL/AZAで治療中の高齢者全大腸炎型潰瘍性大腸炎においてはCMVと伴に種々の日和見感染症に対する注意が必要である.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 日和見感染症