セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)2

タイトル 消P-533:

ステロイド投与前にCMV再活性化がみられた高齢潰瘍性大腸炎患者の2例

演者 上田 渉(大阪市立十三市民病院・消化器内科)
共同演者 宮野 正人(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 大庭 宏子(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 青木 哲哉(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 倉井 修(大阪市立十三市民病院・消化器内科), 大川 清孝(大阪市立十三市民病院・消化器内科)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)の難治化にCytomegalovirus(CMV)の関与が知られるが、大多数はステロイド含めた免疫抑制療法が施行されている。ステロイド投与前に既にCMVの再活性化がみられ、ガンシクロビルが著効した高齢UCの2症例を報告する。【症例1】66歳男性。61歳でUCを発症、5-ASA製剤のみで寛解を維持していたが、腹痛、下痢(20行/日)で再燃。内視鏡像は直腸から上行結腸に浮腫、びらん、小潰瘍を認めたが、深掘れ潰瘍等は認めなかった。CMVアンチゲネミアは2個/5万個、血中の定量PCR(CMV-PCR)は8.5x102コピー/mlと陽性。しかし肝機能異常や発熱はなく、ステロイド40mgを開始。便回数は5行/日まで改善。その後微熱と少量の血便が出現。血中CMV-PCRは経時的に上昇し第30病日で2.6x104コピー/mlとなった。内視鏡像で広範囲粘膜脱落と打ち抜き潰瘍がみられ、粘膜のCMV-PCRは3.1x10 4コピー/μg DNAと陽性。CMV感染症の合併を考慮し、ガンシクロビル投与を開始して寛解導入された。【症例2】75歳 男性。74歳時UC発症。5-ASA製剤で寛解も5-ASA製剤にアレルギー反応があり休薬。その後腹痛、血便で再燃。内視鏡像は直腸から肝彎曲まで、びまん性に粘膜の浮腫、びらん、小潰瘍が存在。CMVアンチゲネミアは4個/5万個、粘膜CMV-PCRは5.5x103コピー/μg DNA、血中CMV-PCRは1.4x102コピー/mlであった。しかし肝機能異常、発熱なく、ステロイドの投与を開始。症状持続するためタクロリムスを開始し症状は軽快。以後PSL減量。第12病日に再燃。血中CMV-PCRは6.8x104コピー/mlと増加し、内視鏡像も類円形、打ち抜き潰瘍が散在。粘膜のCMV-PCRは6.0x105コピー/μg DNAでCMV感染症の合併と診断。ガンシクロビル投与後寛解となった。【結論】高齢者UCでは、免疫抑制療法前に、既にCMVの再活性化がみられる症例があり、その場合免疫抑制療法後にCMV感染症を合併する可能性が高いと考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス