セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)2

タイトル 消P-535:

潰瘍性大腸炎における大腸粘膜組織中のCD163およびCD204の発現に関する検討

演者 宮崎 民浩(東京慈恵会医大葛飾医療センター)
共同演者 須藤 訓(東京慈恵会医大葛飾医療センター), 板垣 宗徳(東京慈恵会医大葛飾医療センター), 相澤 良夫(東京慈恵会医大葛飾医療センター)
抄録 【目的】これまで我々は,抗酸化・抗炎症作用を有するHemeoxygenase-1およびscavenger receptorであるCD163の炎症性腸疾患における役割を報告した.今回,CD163と同じscavenger receptorであるCD204に注目し,炎症性腸疾患におけるCD163およびCD204の特徴と臨床的意義について検討した.【方法】当施設に通院中の潰瘍性大腸炎患者34例(男/女16/18 平均年齢49.9±16.0歳)を対象とした.治療評価目的に施行した内視鏡検査の際に採取した生検組織をモノクロナール抗体を用いて免疫染色し,X400倍の視野で観察される陽性細胞数を10視野分カウントし平均値を算出した.また染色域は粘膜上皮直下,瀰漫,混在型の3つに分類し,染色強度は半定量的に評価した.コントロールは大腸癌手術標本の正常腸管部位を用いた.【結果】CD163,CD204それぞれ血液生化学検査,病型,内視鏡的活動度では有意な相関を認めなかった.CD163は病理学的活動度が高いと有意に陽性細胞は多く,CD204は病理学的活動度が低いと染色度が強く,臨床的緩解期にて有意に陽性細胞が多かった.染色域はCD163,CD 204,コントロールともに粘膜上皮直下型が多いが,前2者の陽性細胞は有意に多かった.CD163とCD204の比較検討ではCD204は病理学的,内視鏡的および臨床的活動度が緩解期にて有意に染色度が強く,陽性細胞も多い結果を得た.【結論】抗炎症作用を有する活性化マクロファージ(M2)はCD163,CD204を強く発現することが知られている.今回の検討ではCD163は活動期に発現が強い傾向がみられたが,CD204は活動期よりも緩解期に有意に発現していた.このことから炎症性腸疾患においては両者の機能に差異があり,CD204は緩解期には発現増強により炎症防御を補完する可能性が示唆された.
索引用語 CD163, CD204