セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)4

タイトル 消P-545:

難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスによる寛解導入治療後症例の経過

演者 結城 崇史(島根大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 石原 俊治(島根大・2内科), 多田 育賢(島根大・2内科), 深澤 康輔(島根大・2内科), 岡 明彦(島根大・2内科), 楠 龍策(島根大・2内科), 相見 正史(島根大・2内科), 宇野 吾一(島根大・2内科), 福庭 暢彦(島根大・2内科), 森山 一郎(島根大附属病院・腫瘍センター), 川島 耕作(島根大・2内科), 石村 典久(島根大・2内科), 古田 賢司(島根大・2内科), 木下 芳一(島根大・2内科)
抄録 【目的】タクロリムスは難治性潰瘍性大腸炎に使用されるようになってきているが、使用方法については、まだ定まっていない。また、長期経過についても分かっていないのが現状である。今回、難治性潰瘍性大腸炎に対する経口タクロリムス寛解導入治療から6カ月以上経過観察できた症例について、有効性や安全性などを検討した。【方法】当院でタクロリムスを経口投与され、6か月以上の経過観察が可能であった難治性潰瘍性大腸炎15症例(男性13例、女性2例、平均年齢32.7歳)について、臨床背景、寛解率、副作用、経過などを検討した。【成績】臨床背景は15例中、中等症10例、重症5例で、投与開始からの平均観察期間は525日だった。ステロイド抵抗性3例、依存性12例で、タクロリムス投与前にインフリキシマブ使用症例は1例だった。副作用は、減量などの対応で全例軽快した。15例中13例にタクロリムスを3か月投与し、その時点では12例が寛解導入されていた。投与開始後1例が効果なく手術となり、1例は投与中、1例は投与終了後に効果不十分でインフリキマブに移行した。残りの12例中、再燃のため3例がタクロリムスの再投与が必要だったが、タクロリムス再投与例も含め12例中11例が投与終了し、投与終了からの平均観察期間は354日だった。投与が終了した11例全例で観察終了時は臨床的寛解だったが、一部の症例では経過中に軽度の再燃に対してステロイド注腸追加などの対応が必要であり、内視鏡的に粘膜治癒まで得られた症例も少なかった。【結論】タクロリムス投与で寛解導入できた症例は、寛解導入以後も手術を回避できていた。しかし寛解導入後に臨床的再燃をきたす症例や内視鏡的に粘膜治癒が得られない症例が得られない症例が少なからず存在し、寛解維持という点でさらなる工夫や検討が必要と考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス