セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)4

タイトル 消P-547:

慢性持続型潰瘍性大腸炎に対する経口タクロリムスの治療効果

演者 新井 勝人(昭和大・消化器内科)
共同演者 竹内 義明(昭和大・消化器内科), 大石 千歳(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【目的】難治性潰瘍性大腸炎における経口タクロリムスを用いた寛解導入治療の有効性が明らかにされつつあるが、無効例も少なからず存在する。今回我々は、既存の治療で寛解導入が困難な慢性持続型潰瘍性大腸炎に対する経口タクロリムスの治療効果について検討した。【方法】当院において経口タクロリムスを投与したステロイド抵抗性、依存性の難治性潰瘍性大腸炎で慢性持続型10例を含む22例(平均年齢39.3歳、男女比16:6)を対象とした。慢性持続型の定義は、ステロイド(CS)で治療介入するも、6ヶ月以上活動期にあるものとした。慢性持続型10例における寛解導入率、背景因子(年齢、性別、病型、罹患期間、治療開始時の疾患活動性、Hb、Alb、ESR、CRP値、家族歴、喫煙歴、腸管外合併症の有無、総CS投与量、CS、AZA/6-MP併用の有無)、転帰について検討した。疾患活動性は導入前及び4、12、24、48週後にLichtiger Indexを用いて評価した。【成績】慢性持続型の12週後の寛解(スコア≦3)導入率は40%(4/10例)であり、有効(50%以上のスコア減少)を含めると治療反応性は60%にみられた。しかし、初回発作型及び再燃寛解型の寛解導入率92%(11/12例)に比し低率であった。また、寛解例のうち2例が24週以降に再燃し、48週後の寛解率は20%(2/10例)に低下した。症例数が少ないため統計学的解析は不可能であったが、中央値の比較では寛解導入例は罹患期間が長く、総CS投与量が多く、治療開始時のCPP値が高かった。最終的に1例は手術となり、6例はインフリキシマブ投与で加療中である。【結論】慢性持続型潰瘍性大腸炎に対するタクロリムス経口投与は、短期的には有効であるが、長期予後の改善は認めなかった。さらなる症例の集積と解析が望まれる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス