共同演者 |
安藤 貴文(名古屋大大学院・消化器内科学), 石黒 和博(名古屋大大学院・消化器内科学), 前田 修(名古屋大大学院・消化器内科学), 神谷 徹(名古屋大大学院・消化器内科学), 三村 俊哉(名古屋大大学院・消化器内科学), 氏原 正樹(名古屋大大学院・消化器内科学), 平山 裕(名古屋大大学院・消化器内科学), 森瀬 和宏(名古屋大大学院・消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大大学院・消化器内科学), 中村 正直(名古屋大大学院・消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大大学院・消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】当院で外来及び入院で潰瘍性大腸炎(UC)患者に投与を行ったtacrolimus (Tac)の有効性・安全性について検討した。【方法】入院患者19例(重症14例、中等症5例)、外来患者18例(全例中等症)にTacを投与した。初回投与量は0.05mg/kg、入院では投与1,3,7,14日後、外来では3,7,14日後にトラフ値を測定し、投与量の調節を行った。治療効果判定はLitchigerのClinical activity index (CAI) を用い、投与後のCAIが4以下を寛解、投与前より5以上の低下を有効とした。【成績】投与4週後、入院では19例中寛解11例、有効3例、無効5例、そのうち重症の14例は寛解8例、有効3例、無効3例であった。経口摂取を行わずに投与を受けた10例では寛解8例、有効1例、無効1例、経口摂取した9例では寛解3例、有効2例、無効4例であり、経口摂取を行わない方で寛解導入率が有意に高かった。外来では18例中寛解10例、有効2例、無効6例であった。4週後に寛解・有効となった22例の経過は、3ヶ月後に18例が寛解、1例が有効を維持し、3例が悪化した。Azathioprine (AZA)を併用せず6カ月以上Tacの投与を続けた8症例は、5例が手術となったが、AZAを併用して6カ月以上Tacの投与を行った6症例は、手術となる症例はなかった。副作用は腎障害5例、手指振戦5例、倦怠感2例、頭痛2例、高血糖1例であった。【結論】外来及び入院でTacは安全に投与が可能で、4週間後の有効率は70%以上であった。特に経口摂取を行わなかった症例で寛解導入率が高く、また長期に投与する場合はAZAを併用することで手術を回避できる可能性が示唆された。 |