セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)5

タイトル 消P-550:

当科における潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの副作用の検討

演者 三浦 みき(杏林大・3内科)
共同演者 山田 雄二(杏林大・3内科), 關 里和(杏林大・3内科), 齋藤 大祐(杏林大・3内科), 桜庭 彰人(杏林大・3内科), 奥山 秀平(杏林大・3内科), 林田 真理(杏林大・3内科), 徳永 健吾(杏林大・3内科), 小山 元一(杏林大・3内科), 高橋 信一(杏林大・3内科)
抄録 【目的】本邦においてタクロリムス(TAC)は2009年7月に難治性の潰瘍性大腸炎(UC)に対して保険収載された.副作用は振戦や電解質異常,消化器症状,腎・肝障害,感染症などが挙げられている.今回我々はUCに対するTACの副作用について検討した.【対象】当科において2009年10月から2012年3月にTACを投与された難治性UCの27症例で,平均年齢39.1歳(16歳~69歳),男性20例,女性7例である.【結果】副作用は10症例11副作用(37%:男性6例,女性4例,ステロイド使用8例)を認めた.内訳は腎障害3例,カリニ肺炎1例,サイトメガロウィルス(CMV)腸炎1例,水痘1例,肝障害1例,脱毛1例,皮疹1例,振戦1例,嘔気1例であった.振戦と嘔気は継続投与したが軽快し,他はTACの休薬により改善を認めた.投薬加療が必要な症例はカリニ肺炎とCMV腸炎の2例で,以下に詳細を述べる.カリニ肺炎は31歳男性.プレドニゾロン(PSL)40mg,5-ASAの内服加療をしていたが,下痢・血便で入院となった.TACを導入し症状は改善したが,投与31日後に熱発した.呼吸器症状は認めないが,胸部CTで両肺野に多発結節影,血清β-Dグルカン 800pg/mlと高値を認めた.気管支鏡検査でカリニ肺炎と診断し,TACの休薬とST合剤の開始で改善を認めた.TACはカリニ肺炎改善後に再投与した.また,CMV腸炎は39歳男性.PSL 2mg,TAC 2mg,アザチオプリン 25mg,5-ASAの内服加療をしていたが,血便で入院となった.ガンシクロビル560mgの加療で軽快を認め,TACの投与を継続した.【考察】難治性UCに対するTAC投与の副作用でカリニ肺炎とCMV腸炎を経験した.TAC開始時にST合剤の予防投与やCMV腸炎の合併を考慮すべきである.【結論】難治性UCに対するTAC投与は重篤な副作用が起こり得るため細心の経過観察を要する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス