セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(潰瘍性大腸炎)5 |
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タイトル | 消P-551:潰瘍性大腸炎に対する外来Tacrolimus少量投与による寛解導入および維持療法の試み |
演者 | 猿田 雅之(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 | 有廣 誠二(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 松岡 美佳(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 荒井 吉則(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 菰池 信彦(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 中尾 裕(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 井出 大資(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 岩崎 哲良(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 光永 真人(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科), 加藤 智弘(東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・内視鏡科) |
抄録 | 【背景】近年、潰瘍性大腸炎(UC)の寛解導入療法は、メサラジン、副腎皮質ステロイドだけでなく、Tacrolimus(Tac)やCyclosporineなどの免疫調節薬、抗TNF-α抗体と多岐にわたっている。しかし、維持療法中に再燃することも多く、ステロイド依存や抵抗例では、寛解維持としてAzathioprine(AZA)を選択するが、肝障害、嘔気、頭痛などの副作用で中止となることも多い。Tacは、血中濃度を高トラフに保つことで寛解導入し、低トラフで維持療法が可能となる薬剤である。そこで、Tacを外来で少量から開始し、軽度再燃例の治療や維持療法に使用可能か検討した。【目的】AZA無効もしくは副作用発現したUCに対するTac少量投与の安全性と有効性を評価する。【方法】2011年1月~2012年2月に、UCに対してAZA投与されたが無効もしくは肝機能障害を認めた6名に、Tacを2mg~3mg/日で投与開始し、血中濃度の推移、臨床効果、安全性につき検討した。有効性はPartial Mayo Scoreを用いて評価した。【成績】体重50kg以上では1日量3mgを分2投与で、50kg以下では1日量2mgを分2投与で開始した。1例は、初回内服時に悪心を認め、1日0.5mgより開始し漸増したが、以後悪心を認めず継続可能であった。観察期間は平均121日±95日(35日~287日)で、目標血中濃度5~10ng/mlまでの到達期間は平均61日±53日(11日~148日)であった。有効性の検討では、Partial Mayo Scoreは、3点以上の低下が2例、2点低下が2例で、投与前の平均5.5±1.0が、投与後に平均3.2±2.0と有意に低下した(p<0.01)。いずれの症例も、新たな肝機能障害や、振戦、腎機能障害は認めなかった。【結論】寛解維持療法だけでなく、軽度再燃や慢性炎症の持続する症例では、Tacの少量持続療法が、外来でも簡便で安全かつ有効に作用し、AZAに匹敵する重要な治療ストラテジーとなりうることが判明した。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, Tacrolimus |