セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)5

タイトル 消P-553:

難治性潰瘍性大腸炎に対するタクロリムス長期維持投与の有効性とその効果予測因子の検討

演者 齊藤 景子(千葉大・消化器内科)
共同演者 勝野 達郎(千葉大・消化器内科), 佐塚 小百合(千葉大・消化器内科), 中川 倫夫(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【目的】タクロリムスが難治性潰瘍性大腸炎に保険適用となり、その強力な寛解導入効果の報告は多い。また、添付文書で「潰瘍性大腸炎では、通常、3ヶ月までの投与とすること」とされているが、タクロリムスの長期投与が寛解維持に有効であるとの報告もある。今回我々は3ヶ月を超える維持投与の有効性と寛解維持効果の予測因子について検討した。
【方法】難治性潰瘍性大腸炎に対しタクロリムス導入後、3ヶ月を超えて長期投与を行った27例において、1)維持投与中で寛解維持(投与中寛解群)、2)維持投与中に再燃(投与中再燃群)、3)投与中止後も寛解維持(中止後寛解群)、4)投与中止後に再燃(中止後再燃群)の4群にわけ、平均投与期間、寛解維持期間、トラフ濃度、血液検査結果について検討した。経過中に再入院を要した症例、抗TNF-α製剤導入を要した症例を再燃とした。
【結果】投与中寛解群3例、投与中再燃群6例、中止後寛解群10例、中止後再燃群8例、平均投与期間は投与中寛解群で603.3±100.4日と長期で、その他の3群は200日前後であった。中止後再燃は中止より平均35.5±36.1日と早期に見られた。中止後寛解群は中止より平均439.6±293.6日と長期に渡り寛解維持されていた。有害事象により中止を要したのは1例であった。平均トラフ濃度、投与開始3週間後、3か月後におけるLichtigerスコア、CRP、3週間後の白血球数、血小板数は各群間で有意差がなかった。しかし、中止後寛解群、中止後再燃群において投与開始3か月後の白血球数、血小板数に有意差を認めた。いずれも中止後寛解群で低い傾向であった。
【結論】寛解維持のために、タクロリムスの3ヶ月を超えての長期維持投与が必要となる症例があることが示された。3ヶ月を超える長期投与でも有害事象は少なく、許容可能であった。投与開始3ヶ月後の時点で、白血球数と血小板数が少ないことが中止後寛解の予測因子と考えられた。
索引用語 タクロリムス, 潰瘍性大腸炎