セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)6

タイトル 消P-557:

Tacrolimus・顆粒球単球吸着(GMA)併用療法による中等症・重症潰瘍性大腸炎症例への寛解導入の試み -当院での検討-

演者 溝下 勤(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 谷田 諭史(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 尾関 啓司(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 塚本 宏延(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】中等症・重症潰瘍性大腸炎に対する治療は、新規治療薬(Tacrolimus、Infliximab)の登場により新たな時代を迎えた。また白血球系細胞除去療法(LRT)も強化療法が保健適応となり重要な選択肢の一つとなっている。今回我々は、ステロイド抵抗性・依存性の中等症・重症潰瘍性大腸炎患者に対してTacrolimus・顆粒球単球吸着(GMA)併用療法を行い臨床的(寛解率、ステロイド離脱の有無など)に検討した。【方法】2009年7月~2011年12月までに当院でTacrolimus・GMA併用療法を実施したステロイド依存性・抵抗性の中等症・重症潰瘍性大腸炎患者26名(男13名、女13名、平均年齢43.7歳)について治療前と治療3か月後の経過から寛解率(mDAI score)、ステロイド離脱率、大腸内視鏡所見(Baron分類)などについて検討した。【成績】1. Tacrolimus・GMA 併用療法を1か月以上行った23例中16例(70%)で改善が認められた。23例のmDAI scoreの平均値は、治療前7→治療3か月後2.7となり、大腸内視鏡所見(Baron分類)平均値は、治療前2.5→治療3か月後1.2となった。ステロイド離脱は、23例中12例(52%)であった。2. Tacrolimus・GMA 併用療法は、23例中7例(30%)で無効であった。6例はInfliximabに変更し、1例はPrednisolone増量で対応した。3. Tacrolimus・GMA 併用療法施行後1か月未満で治療を中止した症例は3例であった。1例は出血のコントロールがつかず外科的手術となり、残り2例は、Tacrolimusの副作用(1例は吐き気、1例は肝障害)のためTacrolimus投与を中止した。【結論】Tacrolimus・GMA 併用療法は、ステロイド抵抗性・依存性の中等症・重症潰瘍性大腸炎症例に対して、高い寛解導入率、ステロイド離脱率を示し有用な治療法であると考えられた。
索引用語 Tacrolimus, GMA