セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)7

タイトル 消P-562:

時間依存性5-ASA製剤抵抗性の潰瘍性大腸炎に対するpH依存性5-ASA製剤の有効性

演者 林 亮平(広島大・内視鏡診療科DELIMITER広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 上野 義隆(広島大・内視鏡診療科), 田中 信治(広島大・内視鏡診療科), 永井 健太(広島大・消化器・代謝内科), 岡 志郎(広島大・内視鏡診療科), 吉田 成人(広島大・内視鏡診療科), 日山 亨(広島大保健管理センター), 伊藤 公訓(広島大・消化器・代謝内科), 北台 靖彦(広島大・消化器・代謝内科), 吉原 正治(広島大保健管理センター), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【背景】pH依存性5-ASA製剤(以下アサコール錠)は回腸末端部以降で90%以上のメサラジンを放出するため、大腸病変に対し効率よく抗炎症作用を発現できるとされる。今回我々は、時間依存性5-ASA製剤(以下ペンタサ錠)に対し抵抗性であった潰瘍性大腸炎(UC)に対するアサコール錠の有効性を検討したので報告する。【方法】対象は2012年1月までに当院でアサコール錠投与を開始したUC患者80人のうち、ペンタサ錠4.0gからアサコール錠3.6gに変更した臨床的活動期UCの16例。平均年齢40.6歳、男性/女性:9/7例、全大腸炎型/左側大腸炎型/直腸炎型:9/5/2例、平均罹病期間は6.8年。効果判定として、投与前後でのpartial Mayo scoreとRachmilewitzらの内視鏡スコアで評価した。【結果】投与後にpMayoスコアが1以下となった症例を寛解、寛解に至らなかった症例のうち改善度2以上の症例を軽快と定義した。投与前後で臨床症状の変化を詳細に調査できた14例中5例(35.7%)で寛解導入でき、5例(35.7%)で改善を認めた。スコアは投与前平均4.6から投与4週間後に2.5と有意に低下した。局所療法を併用していた5例中2例(40%, steroid:1/2例、5-ASA:1/3例)で、局所療法からの離脱が可能だった。また、投与前後で大腸内視鏡検査画像の比較が可能だった6例で、直腸のスコアは平均8.0から4.1と、有意差は認めなかったものの改善傾向を認めた。【結論】ペンタサ錠の保険承認用量最大の4.0g/日を投与しているにも関わらず臨床的活動期であったUC症例に対し、アサコール錠3.6g投与は有意に臨床症状を改善し、内視鏡所見も改善した。ペンタサ錠に抵抗性であるUC症例に対し、アサコール錠への切り替えは有効な治療法の一つと考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, アサコール