セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)8

タイトル 消P-568:

潰瘍性大腸炎における短期間の食事体験入院

演者 千葉 満郎(中通総合病院・消化器内科)
共同演者 菅原 健(中通総合病院・消化器内科), 津田 栄彦(中通総合病院・消化器内科), 阿部 徹(中通総合病院・消化器内科), 兎澤 晴彦(中通総合病院・消化器内科), 藤原 勝彦(中通総合病院・消化器内科)
抄録 【背景】炎症性腸疾患 IBD(潰瘍性大腸炎 UC、クローン病 CD)の最大の環境因子は食事にともなう腸内細菌叢であり主として西洋化した食事にともなう生活習慣病と捉えられる(Chiba M et al. Missing environmental factor in inflammatory bowel disease: Diet-associated gut microflora. Inflamm Bowel Dis 2011;17:E82)。その対策としてsemi-vegetarian diet (SVD) が考案されCD でその再燃予防効果が確認された。IBDは食事を主とした生活習慣病として捉えると食習慣の是正のための食事体験入院が必要となる。【目的】短期間の入院で病気UCへの理解とSVDの食事体験を目的とした。【対象と方法】1) 即時の治療を必要としない軽症例または寛解例である、2) 2週間ほどの入院が可能である、3) 食事体験の意義に賛同する、の3項目を満たす症例を適応例とした。便潜血反応で発見された無症状症例やADLの低い高齢者は適応外とした。入院中に1) 食事を含む生活習慣のアンケート調査、2) アンケート解析の説明、3) 医師による潰瘍性大腸炎の病態の説明と質疑応答、4) SVD の体験、5) 管理栄養士による食事指導、6) 必要により薬物治療、画像検査を行った。入院期間中の病態の変化、退院後の予後を調査した。【結果】平成15年以降24年2月までの食事体験入院症例は28例(男 19; 16~74歳(中央値 31.5);直腸炎型 14 左側大腸炎型 3 全大腸炎型 11; 初回発作 16 再燃寛解 12; 軽症 19 寛解 9;罹病期間 1~204カ月(中央値 9))であった。入院期間は7-28日(中央値 13.5)、通院観察期間は1カ月~7年6カ月(中央値1年6カ月)。退院時 病態の改善(血便の消失・減少、便潜血反応の陰性化)が19例中11例でみられた。通院27例中入院を必要とした再燃が4例でみられ、そのうち2例が最終的に大腸を切除した。1、2年めの入院率はそれぞれ9%、14%であった。【考察および結論】短期間の食事体験入院で半数例以上で病態の改善がみられた。食事体験入院の長期予後への評価は今後の検討課題である。
索引用語 潰瘍性大腸炎, semi-vegetarian diet