セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(潰瘍性大腸炎)8

タイトル 消P-569:

直腸瘻,直腸膣瘻を合併した潰瘍性大腸炎の6例

演者 高橋 聡(社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター)
共同演者 唯見 徳馬(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 河口 貴昭(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 酒匂 美奈子(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 吉村 直樹(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター), 高添 正和(社会保険中央総合病院・炎症性腸疾患センター)
抄録 【はじめに】潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis; UC)は粘膜から粘膜下層を炎症の主座とするため,腸管の全層性炎症を特徴とするCrohn病とは異なり,直腸瘻,直腸膣瘻などの瘻孔疾患の合併頻度は低い.我々はUCを基礎疾患とし直腸瘻を合併した2症例,直腸膣瘻合併した4症例を経験したので報告する.【症例】症例1.25歳,左側結腸炎型UC発症.33歳,肛門周囲膿瘍に対し切開排膿後,直腸瘻化した.drainage setonを2度施行し,症状緩和が得られたが治癒遷延.症例2.42歳,全大腸炎型UC発症.43歳,肛門周囲膿瘍に対し切開排膿後,直腸瘻化しdrainage setonを施行.44歳,UC悪化のために結腸全摘,回腸ストマ造設.46歳,肛門管直上の高度狭窄,直腸瘻難治のためAPRを施行.症例3.22歳,全大腸炎型UC発症.再燃緩解を繰り返し,42歳,大腸全摘,IACA,回腸ストマ造設.術中に直腸膣瘻を指摘.ストマ下に瘻孔の切開解放,層々縫合を行うも離開.括約筋形成術を施行し治癒した.症例4.13歳,全大腸炎型UC発症.結腸全摘,IRA施行後,無治療で経過.23歳,低位筋間痔瘻に対しtight seton施行後,直腸膣瘻の形態で再発.2度の瘻孔切除術で治癒.症例5.30歳,全大腸炎型UC発症.再燃緩解を繰り返し,42歳,結腸全摘,回腸ストマ造設.術中に直腸膣瘻を指摘.空置直腸下に瘻孔の切開解放,層々縫合を施行.瘻孔は治癒したが,吻合部狭窄,肛門括約筋機能低下のためストマ閉鎖は現在まで未施行.症例6.13歳,全大腸炎型UC発症.結腸全摘,IRA施行後,無治療で経過.30歳,直腸膣瘻発症.回腸人工肛門造設し,瘻孔の縫合閉鎖を2度行うも再発.瘻孔を含めた残存直腸切除,IAAを施行し治癒した.【結語】潰瘍性大腸炎を背景とする直腸瘻,直腸膣瘻は治療に難渋することが多く,手術適応,手術時期,手術術式を慎重に決定すべきである.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 直腸瘻