セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)大腸(潰瘍性大腸炎)8 |
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タイトル | 消P-570:抗癌剤が炎症性腸疾患の活動性に与える影響についての検討 |
演者 | 高橋 賢一(東北労災病院・大腸肛門病センター) |
共同演者 | 舟山 裕士(東北労災病院・大腸肛門病センター), 生澤 史江(東北労災病院・大腸肛門病センター), 徳村 弘実(東北労災病院・外科), 豊島 隆(東北労災病院・外科), 武者 宏昭(東北労災病院・外科), 西條 文人(東北労災病院・外科), 松村 直樹(東北労災病院・外科), 野村 良平(東北労災病院・外科), 武藤 満完(東北労災病院・外科), 安本 明浩(東北労災病院・外科), 松村 勝(東北労災病院・外科), 澤田 健太郎(東北労災病院・外科), 柴原 みい(東北労災病院・外科), 前川 浩樹(東北労災病院・胃腸科), 小島 康弘(東北労災病院・胃腸科) |
抄録 | 【背景】近年大腸癌を合併した炎症性腸疾患(IBD)症例が増え抗癌剤治療を受ける機会が増えている。抗癌剤はturn overの速い腸上皮を障害しうるが、最近では上皮細胞や血管内皮に対する分子標的薬も登場し、IBD症例では腸管病変の活動性が影響を受ける可能性が考えられる。【対象と方法】2007年~2012年迄に手術を行った大腸癌合併潰瘍性大腸炎(UC)およびCrohn病(CD)症例はそれぞれ8例、2例であった。これらの症例の中で術後に腸管病変が残存し、かつ抗癌剤治療を受けた5例を対象とし、抗癌剤治療の内容と腸管病変の活動性の変化を検討した。【結果】症例1:全大腸炎型UC。直腸の散発癌に対し低位前方切除を施行。UFT+LV療法を1年行ったが腸病変の活動性は変化しなかった。症例2:左側大腸炎型UC。横行結腸の散発癌に対し右半結腸切除術を施行。さらに肺転移切除後にcapecitabine投与を1年行ったが寛解を維持していた。症例3:直腸炎型UC。虫垂粘液嚢胞腺癌にて回盲部切除術を施行。腹膜播種のためmFOLFOX6+bevacizumab(BV)療法を開始したが血便が増加し、2コース後より高熱も出現し入院となった。内視鏡所見の悪化を認めたため強力静注療法による寛解導入を行った。その後mFOLFOX6療法を6ヶ月行ったが再燃を認めなかった。症例4:大腸型CD。直腸肛門管癌に対し骨盤内臓全摘術を行った。剥離断端陽性のためmFOLFOX6療法を2年5ヶ月継続中であるが再燃を認めていない。症例5:小腸大腸型CD。直腸肛門管癌に対しMiles手術を行った。mFOLFOX6療法を6ヶ月、S-1療法を2ヶ月行ったが再燃を認めなかった。【考察】フッ化ピリミジン系薬、オキサリプラチンはIBD病変の活動性に影響を与えないと考えられた。一方BVを投与した症例では直後より再燃しており、IBD症例でのBVの使用には注意を要すると考えられた。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, ベバシツマブ |