抄録 |
【目的】当科は通院IBD診療を主目的として開業した6年目の無床クリニックである。PSLは原則使用せず、適宜大腸内視鏡の即時施行と粘膜評価に基づき、最大量のメサラジン経口+局所療法、intensive GCAP にて強力に寛解導入を行なっている。現在潰瘍性大腸炎約260名、クローン病約40名の通院治療を行なっている。これまで劇症潰瘍性大腸炎の通院寛解導入の症例を報告してきた。のべ76症例にCAPを行い、64症例は通院で寛解導入に成功した(84%)。今回は通院寛解導入治療に難渋し入院(転院)に至った12症例を検討した。【結果】GCAP途中の劇症化で入院4例(PSL+LCAPで寛解2例、PSL+TACで寛解1例、IFX無効でTACで寛解1例)、5-ASA の間質性腎炎で入院治療1例、6-MPの骨髄抑制で入院治療1例、GCAP不応と穿孔で外科手術1例、5-ASA不耐でGCAP寛解導入後の維持治療が出来ず短期で再燃しGCAP不応で外科手術1例、免疫抑制療法なしにもかかわらずCMVによるものが2例(GCVにて寛解1例、GCV+IFXにて寛解1例)、PSL40mg内服3日目のCMVが1例(GCVで寛解しGCAPで再治療)、CAP脱血ルート確保困難1例(IFX0wで寛解)であった。肺炎・敗血症など日和見感染症が原因になるものはなかった。【考察】無床クリニックではCMV(GCV)、TACの治療は不可能であり、早期に判断し入院治療へのスイッチが必要である。GCAP治療中での悪化・消耗状態(経口食不可能)は短期間で生じるため、再燃覚知から内視鏡評価、intensive 治療に進んでも寛解に持ち込めないこともある。深夜休日帯での緊急入院は本人・医療者にも負担が大きい。病診連携を進め、通院治療の粘りすぎや、重篤化を来さないよう、戦略策定が重要である。 |