セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)1

タイトル 消P-576:

microRNA-143, -145発現とadenoma-carcinoma sequence

演者 釜谷 明美(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 中川 義仁(藤田保健衛生大・消化管内科), 赤尾 幸博(岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科・創薬科学), 田原 智満(藤田保健衛生大・消化管内科), 丸山 尚子(藤田保健衛生大・消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大・消化管内科), 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大・消化管内科), 小村 成臣(藤田保健衛生大・消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大・消化管内科), 大森 崇史(藤田保健衛生大・消化管内科), 城代 康貴(藤田保健衛生大・消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大・消化管内科), 米村 穣(藤田保健衛生大・消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大・消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大・消化管内科), 柴田 知行(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 【目的】microRNA (miRNA)は22-25ヌクレオチドの小さな機能性RNAであり、標的となるmRNAと結合して翻訳を抑制する。我々はこれまでに大腸の腫瘍組織、とくに大腸癌や家族性大腸腺腫症の症例においてmiR-143、miR-145が共に高率に発現低下することを見出し報告してきた。今回我々は、大腸腫瘍におけるAPC遺伝子由来の蛋白apcとp53、miR-143, -145の発現について臨床検体を用いて比較解析し、adenoma-carcinoma sequenceとmicroRNAの関連について検討した。【方法】大腸腫瘍13例(家族性大腸腺腫症4例、孤発性大腸癌2例、孤発性大腸腺腫7例)と大腸非腫瘍性ポリポーシス(Cronkhite-Canada syndrome 1例、Peutz-Jeghers syndorome 1例)を用いてmiR-143, -145, -の発現とapc蛋白(C末端およびN末端を認識する2種の抗体)、p53蛋白(DO7)の発現を調べた。【成績】miR-143,-145は大腸腫瘍12例(92.3%)、大腸非腫瘍性ポリポーシス0例(0%)で発現が低下していた。apcの不染およびp53の染色は大腸腫瘍2例(15.4%)で認められた。miR-143,-145の発現低下とapc, p53の異常に関連性は認められなかった。【結論】大腸腺腫におけるmiR-143, -145の発現はapcやp53の発現の異常に関係なく低下しており、これらのmiRNAの低下が腫瘍化の極めて早期に引き起こされることが明らかになった。以上の結果は、miRNAが新しい腫瘍マーカーとなる可能性を有することを示唆している。
索引用語 microRNA, adenoma-carcinoma sequence