セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)1

タイトル 消P-579:

大腸粘液癌の臨床的特徴および患者背景に関する検討

演者 田畑 拓久(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科)
共同演者 小泉 浩一(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 桑田 剛(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 千葉 和朗(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 来間 佐和子(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 藤原 崇(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 江頭 秀人(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 藤原 純子(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 高橋 慶一(がん・感染症センター都立駒込病院・外科), 立石 陽子(がん・感染症センター都立駒込病院・病理科), 堀口 慎一郎(がん・感染症センター都立駒込病院・病理科), 比島 恒和(がん・感染症センター都立駒込病院・病理科)
抄録 【目的】大腸粘液癌は全体の約4%と稀な組織型であるが、通常の大腸癌と比べて右側結腸に多いという特徴がある。一方、Lynch症候群に発生する大腸癌も右側結腸に多く、粘液癌が多いことが知られている。今回、大腸粘液癌の臨床的特徴および患者背景を明らかにし、Lynch症候群との関連性を検討した。【方法】2006年4月~2011年12月に外科的切除された大腸粘液癌77例を対象に臨床的特徴および患者背景について検討した。【結果】平均年齢は67.6歳,50歳未満は77例中5例であった。占拠部位は右側結腸35例(45.5%)で右側結腸に多かった。肉眼型では2型,3型の比率が高く、深達度はSS/A以深が大半で、リンパ節転移を44例(57.1%),肝転移を8例(10.3%),遠隔転移を14例(18.2%)に認めた。患者背景の検討では、同時性/異時性の多発大腸癌は13例(16.9%)に、同時性/異時性の他臓器重複癌は23例(30.0%)に認められた。重複癌は胃癌が最多で、次いで尿路系悪性腫瘍や乳癌が多く、HNPCC関連腫瘍は13例(16.9%)であった。家族歴に関する検討では、第1度または第2度近親者に癌家族歴を有する例が36例(46.8%)で、大腸癌,胃癌,肺癌,子宮体癌の順に多く、HNPCC関連腫瘍の家族歴を有するのは26例(33.8%)であった。このうち2人以上のHNPCC関連腫瘍の家族歴を有する例は7例(9.1%)であった。Bethesda guidelineに合致する例は77例中27例(35.1%)と比較的高率であった。【結論】大腸粘液癌は右側結腸に多く浸潤傾向の強い組織型で、リンパ行性に転移をきたしやすい。また多発大腸癌や他臓器重複癌が多く、癌家族歴を有する例が多い。大腸粘液癌では詳細な既往歴,家族歴の聴取が重要で、Lynch症候群の関与や他臓器癌,異時性多発癌などを念頭に置いたサーベイランスが重要と考えられた。
索引用語 大腸粘液癌, Lynch症候群