セッション情報 シンポジウム9(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

消化器がん検診における新しい診断法の展開

タイトル 内S9-5:

便中メチル化CpG検出による消化器癌スクリーニング

演者 永坂 岳司(岡山大大学院・消化器外科学)
共同演者 森川 達也(岡山大大学院・消化器外科学), 藤原 俊義(岡山大大学院・消化器外科学)
抄録 我々は大腸癌に高頻度に認められるメチル化異常をバイオマーカーに用いた便中メチル化CpGs検出技術の開発を行い, その便中メチル化CpGs検出によって, 大腸癌だけでなく他の消化器癌をもスクリーニングできることを報告した. 今回, 我々は, その検出技術をFOBTと同等量の便検体を用い, 8つのプロモーターCpGsのメチル化異常を検出する方法に改良し, 本試験参加者170例(大腸癌[n=57], 大腸腺腫[n=28], 上部消化器癌[胃, 膵, 胆管, 十二指腸, 肝癌; n=24], 健常人[n=61])の便検体を2日間収集し, その便の解析を行い, 各消化器腫瘍に対する感度, 特異度の検討を行った. 2日間の便検体のメチル化を呈したマーカー累積数をMethylation Score(MS; 範囲0~16)と定義. MS≧1を検査陽性とすると, 大腸癌, 大腸腺腫, 上部消化器癌に対する感度は, 各々, 91%, 93%, 71%と高感度を示したが, 健常人に対する特異度は74%とやや低い傾向を認めた.次に, MS≧2を検査陽性とすると, 大腸癌, 大腸腺腫, 上部消化器癌に対する感度は, 各々, 68%, 71%, 38%となり,健常人に対する特異度は93%を呈した. 以上, 便中メチル化CpGs検出は, 大腸癌だけでなく, その他の消化器癌をも検出可能である. 本技術は, 消化器癌全般に対する新しい、かつ、効果的な検診体系を構築する可能性を持つ.
索引用語 がんスクリーニング, 便中メチル化DNA検出