セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)1

タイトル 消P-580:

腸管穿孔を契機に発見された大腸癌の臨床的検討

演者 大塚 崇史(神戸赤十字病院・消化器内科)
共同演者 迫 智也(神戸赤十字病院・消化器内科), 生方 綾史(神戸赤十字病院・消化器内科), 東内 雄亮(神戸赤十字病院・消化器内科), 横山 祐二(神戸赤十字病院・消化器内科), 平山 貴視(神戸赤十字病院・消化器内科), 黒田 浩平(神戸赤十字病院・消化器内科), 白坂 大輔(神戸赤十字病院・消化器内科), 藤井 正俊(神戸赤十字病院・消化器内科), 石堂 展宏(神戸赤十字病院・外科), 門脇 嘉彦(神戸赤十字病院・外科)
抄録 【背景と目的】腸管穿孔を契機に発見された大腸癌の予後は不良とされているが、不明な点も多い。今回、穿孔性大腸癌の予後を推察することを目的とした。【対象と方法】2003年11月から2011年11月まで当院で経験した大腸癌穿孔21例に対して検討した。【成績】年齢は50歳~84歳(平均67.8±10.4歳)。性別は男性17例(81%)、女性4例(19%)。腫瘍部位は全て左半結腸であった(S状結腸15例(71%)、直腸6(29%))。穿孔部位は、病変が10例、病変の口側が11例であった。病期はStageIIが9例(43%)と最も多く、StageIII 5例(24%)、StageIV 7例(33%)であった。組織型は高中分化管状腺癌が18例(86%)、未分化腺癌が3例(14%)であった。大腸穿孔性腹膜炎による周術期死亡は1例(5%)であった。継続経過観察可能であった11例では、根治度Aが7例、根治度Bが0例、根治度Cが4例であった。根治度AはStageIIが4例、StageIIIが3例で、6例に術後補助化学療法が施行され、全例再発を認めなかった。化学療法が行われなかったStageIIの1例は、術後5年で吻合部再発を来した。根治度Cは全てStageIVで、詳細は以下の通りである。肝転移、腹膜播種を認めた1例は、DIC、ARDSとなり、術後3日で死亡した。腹膜播種のみを認めた2例は、いずれも化学療法を行い、腹膜切除例は腹膜播種再発を認めず、術後11か月で肝転移を来し、13か月で死亡した。腹膜非切除例は、腹膜播種再発を認め、術後3年で死亡した。肝転移のみを認めた1例は、化学療法後に肝切除を行い、さらに肺転移を来したが、術後2年経過して現在生存中である。【結論】大腸癌穿孔は左半結腸に多い傾向が認められた。また、StageIII以下の高中分化腺癌では、根治度Aの外科治療が施行出来れば、術後補助化学療法の追加により、長期予後が期待できる可能性が示唆された。一方で、StageII症例でも再発する症例が存在し、術後補助化学療法を積極的に検討する必要があると考えられた。
索引用語 大腸癌, 穿孔