セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)2

タイトル 消P-586:

大腸癌における同時性腹膜播種の進行度分類について ~予後からの考察~

演者 佐藤 美信(藤田保健衛生大・下部消化管外科)
共同演者 前田 耕太郎(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 升森 宏次(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 小出 欣和(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 野呂 智仁(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 本多 克之(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 塩田 規帆(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 松岡 伸司(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 水野 真広(藤田保健衛生大・下部消化管外科), 遠山 邦宏(野垣病院・外科)
抄録 【目的】大腸がん取扱い規約では腹膜播種をその数と範囲から3群に分類しているが、腹膜には系統的な解剖分類が存在せず、客観性に欠く記載となっている。腹膜播種に対する適切な進行度分類について予後の点から検討した。【対象および方法】虫垂癌を除く大腸癌2081例のうち同時性腹膜播種は91例(4.4%)で、Cy1を除く腹膜播種の情報が取得可能な67例を対象とした。対象は男性34例、女性33例、平均62.4±11.8歳で、占居部位は右側結腸癌24例、左側結腸癌(Rsを含む)31例、直腸癌12例であった。P1は30例、P2は5例、P3は32例で、63例(94.0%)で腹膜播種以外の遠隔転移を認め、18例(26.9%))で腫瘍を切除せず人工肛門造設術またはバイパス手術が行われた。腹膜播種巣の最大サイズを5mm以下(粟粒大)、5~20mm(母指頭大)、20mm以上に、数を3個以下と4個以上に、範囲を腹部9領域のうち播種巣の存在した領域数で分類し、各々の予後を調べ、腹膜播種の適切な進行度分類について検討した。【成績】P1症例の3年生存率(3生率)は27.6%でP3症例(8.2%)に比べて有意に予後良好であった(p=0.03)。P2症例の3生率は50%でP1症例と差を認めず、P1+P2症例の3生率は36.2%でP3に比べて有意に良好であった(p=0.008)。播種病巣の最大サイズ別の3生率は粟粒大11.9%、母指頭大34.9%、20mm以上28.6%で3群間に有意差を認めなかった。播種病巣3個以下の3生率は45.2%で、4個以上の12.2%に比べて有意に良好であった(p=0.02)。播種病巣が1領域に限局した症例の3生率は31.6%で、2領域以上の3.4%に比べて有意に良好であった(p=0.0006)。播種病巣が3個以下または1領域に限局した症例の3生率は45.6%でその他の17.0%に比べて有意に予後良好であった(p=0.0009)。【結論】大腸癌の同時性腹膜播種では播種病巣の数と存在領域が予後の予測に有用で、播種病巣が3個以下または1領域に限局した症例とその他の2群分類が適切と考えられた。
索引用語 腹膜転移, 大腸癌