セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)2

タイトル 消P-589:

大腸癌におけるHeregulinとその受容体ErbB3およびErbB4の発現と臨床病理学的意義

演者 辰口 篤志(日本医大・消化器内科)
共同演者 三井 啓吾(日本医大・消化器内科), 米澤 真興(日本医大・消化器内科), 進士 誠一(日本医大大学院・臓器病態制御外科学), 瀬尾 継彦(日本医大・消化器内科), 小林 剛(日本医大・消化器内科), 江原 彰仁(日本医大・消化器内科), 高橋 陽子(日本医大・消化器内科), 田中 周(日本医大・消化器内科), 藤森 俊二(日本医大・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科)
抄録 背景、目的:大腸癌を含め、様々な腫瘍でepidermal growth factor受容体(EGFR)ファミリーの過剰発現が報告されており、かつEGFRのmonoclonal抗体は一部の手術不能な大腸癌に対して腫瘍縮小効果と生存延長効果のあることが報告されている。EGF-EGFR経路が腫瘍の進展に大きな役割をもつとされているが、EGF以外のEGF ファミリーの大腸癌における発現、臨床的意義については十分に解明されていない。heregulin はEGF ファミリーのひとつであり、その受容体であるErbB3、ErbB4はheregulinと結合するとリン酸化され、ErbB2とヘテロ2量体を形成することによって下流のシグナル伝達系が活性化される。今回我々はheregulinとErbB3、ErbB4の大腸癌における発現、臨床病理学的因子との相関を検討した。材料と方法: 155」人の大腸癌患者の手術検体を用いて、heregulinとErbB3、ErbB4の免疫組織染色を行い、その局在と臨床病理学的因子との相関を検討した。結果:免疫組織学的解析の結果、155例中heregulin、ErbB3、ErbB4の陽性率はそれぞれ46%、39%、39%であった。heregulin、ErbB3、ErbB4は、いずれも臨床病期と相関が認められた。HeregulinとErbB3およびErbB4とのあいだには正の相関が認められた。Stage l-lllを通じてheregulinおよびErbB4の染色性はdisease free survivalと負の相関が認められた。HeregulinとErbB3の両者が陽性の症例はそれ以外の症例と比べて予後不良であった。HeregulinとErbB4の両者が陽性の症例もそれ以外の症例と比べて予後不良であった。結論:heregulinとErbB3、ErbB4は大腸癌の進展に関係し、heregulinとErbB3およびErbB4の結合は予後に影響を与えることが示唆された。
索引用語 大腸癌, EGFR