セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)3

タイトル 消P-590:

性差を加味した大腸腫瘍とインスリン抵抗性および脂質代謝異常についての検討

演者 久貝 宗弘(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 吉田 直久(京都府立医大・消化器内科), 稲田 裕(京都府立医大・消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医大・消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医大・消化器内科), 内山 和彦(京都府立医大・消化器内科), 石川 剛(京都府立医大・消化器内科), 高木 智久(京都府立医大・消化器内科), 半田 修(京都府立医大・消化器内科), 小西 英幸(京都府立医大・消化器内科), 八木 信明(京都府立医大・消化器内科), 古倉 聡(京都府立医大・消化器内科), 柳澤 昭夫(京都府立医大・人体病理学), 内藤 裕二(京都府立医大・消化器内科)
抄録 [目的]肥満による脂肪蓄積はインスリン抵抗性を惹起し,慢性的な高インスリン状態は大腸腫瘍発生に働くことが基礎研究で示されているが,一般に体脂肪率は男女で異なり,腫瘍発生のメカニズムにおいて性差が存在する可能性が考えられる.本研究では性差を加味し大腸腫瘍例のインスリン抵抗性や脂質代謝異常について検討を行った.[対象と方法] 対象は,2010年1月以降に当院当科にて大腸腫瘍に対してESDを施行した190例(男性110例, 女性80例)とした.血液生化学検査にて脂質、糖代謝について検討を行い,また体成分分析装(Inbody720, Biospace社)を用いて体脂肪率, および骨格筋肉量を測定した.なお健常者については当院および関連施設において大腸内視鏡を施行し,大腸腫瘍を認めなかった92例とした(男性40例,女性52例).[結果] HOMA-IRは,男性では大腸腫瘍例と健常者と比較し大腸腫瘍例で高い傾向があった(平均1.77対1.61)が,女性においては差異を認めなかった.LDLコレステロール(平均値: mg/dl)は大腸癌群の男性:女性で116.9: 126.1で女性が高い傾向を認めた.HDLコレステロール(平均値: mg/dl)は腺腫において男性:女性で61.4: 72.9で男性が低い傾向があり,癌では男性:女性で55.2: 68.3と男性で有意に低かった(P<0.001).さらに男性においては腺腫:癌では61.4: 55.2と癌において有意に低かった(P<0.05).体脂肪率は全体で男性:女性で22.5: 27.6と有意に女性が高かった(P<0.001).また骨格筋量については全体で男性が女性より有意に高値であった(P<0.001).[結論]インスリン抵抗性は男性において腫瘍発生と関連している可能性があり,さらにHDLコレステロールの低下は男性の大腸発癌への関連性が示唆された.男性において肥満は大腸腫瘍の発生と密接に関連があると考えられ現在更なる解析と行っている.
索引用語 大腸腫瘍, 性差