セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)3

タイトル 消P-592:

抗糖尿病薬Metforminによる大腸癌細胞増殖の抑制

演者 野村 圭(香川大附属病院・消化器・神経内科)
共同演者 加藤 清仁(香川大附属病院・消化器・神経内科), 藤原 新太郎(香川大附属病院・消化器・神経内科), 三村 志麻(香川大附属病院・消化器・神経内科), 西山 典子(香川大附属病院・消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大附属病院・消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大附属病院・消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大附属病院・消化器・神経内科), 小林 三善(香川大附属病院・消化器・神経内科), 小原 英幹(香川大附属病院・消化器・神経内科), 森 宏仁(香川大附属病院・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大附属病院・消化器・神経内科)
抄録 【目的】近年、抗糖尿病薬であるMetforminが前立腺癌、乳癌に対して抗癌作用を持つことが報告されている。今回、我々は、Metforminが大腸癌に対して、抗癌作用を持つことを、in vitro、in vivoの系で証明した。更にMetforminの抗癌作用に関連するmicroRNAの同定を網羅的に解析した。【方法】1.in vitroの系:大腸癌細胞株として、Widr、CACO2、CW-2を使用し、Metformin投与による細胞増殖をcell proliferation assayにより検討し、さらに種々の細胞周期関連分子の発現動態はWestern blot法により検討した。また、Metformin投与により誘導されうるmiRNAsを1000分子が搭載されたアレイを用いて網羅的に検討した。2. in vivoの系:Widr細胞をヌードマウスに皮下移植し、Metforminが、in vivoにおいても増殖を抑制するかを検討し、大腸癌細胞株におけるMetformin投与による細胞周期関連分子、miRNAsに影響を与えるか否かについて、in vitroの系と同様に比較した。【結果】1.in vitroの系:Metformin投与は非投与群と比較して、濃度依存的に3種類全ての大腸癌細胞株で増殖は抑制されていた。Metformin投与は非投与と比較し、CyclinD1、Cdk4、Cdk6の発現が抑制され、Rbのリン酸化は低下していた。Metformin投与によりmiRNAsの発現動態が有意に変化していた。2.in vivoの系:Metformin投与も濃度依存的にヌードマウスに移植した大腸癌細胞の増殖を顕著に抑制し、さらに、細胞周期関連分子、miRNAsの動態変化もin vitroの系に類似していた。3.Metformin投与により、減弱していたmiRNAsの中で、細胞周期を昂進させる分子(CyclinD1他)をターゲット遺伝子とするmiRNAが存在していた。【結論】Metforminが大腸癌に対し、miRNAの動態を変化させることにより、細胞周期のG1アレストを引き起こし、抗癌作用を持つことを、in vitro、in vivoの系において証明した。
索引用語 大腸癌, 分子生物学