セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(腫瘍)3

タイトル 消P-596:

大腸癌術後地域連携パスの開発と運用-患者の安心と医師の理解ー

演者 早田 浩明(千葉県がんセンター・消化器外科)
共同演者 滝口 伸浩(千葉県がんセンター・消化器外科), 鍋谷 圭宏(千葉県がんセンター・消化器外科)
抄録 大腸癌術後症例を地域医療機関とでフォローアップをしていく大腸癌術後地域連携クリニカルパス(以下連携パス)は、癌拠点病院を中心に立案されているが運用している地域はまだ少ない。私どもは2地域拠点病院、1地域中核病院と開業されている4医療機関とで連携パスを開発し2009年10月から50例以上の症例をフォローアップしている。これまでに得た知見を報告する。経緯:千葉市を中心とした地域で開業されている4医院(2内科、2外科)と3病院とで協議会を発足し結腸癌Stage 1, 2の術後連携パスを開発、地域医療機関への説明会後運用を開始した。現在直腸癌Stage 1, 2と結腸癌Stage3補助化学療法の連携パスも開発運用している。パスのコンセプト:大腸癌治療ガイドラインに沿ったサーベイランスを地域医療機関と連携して行い、術後5年を無再発で経過することを目的とした。連携医療機関は紹介元かつ大腸癌再発診断が可能な施設とし、診療の質を担保する。連携先とのデーターの共有は患者に渡すパスポートサイズの連携パス手帳に書き込んで行う。連携医療機関:大腸内視鏡、腹部超音波、胸部X線診断が可能な施設で専門病院へ当該症例を紹介、かつ連携パスに参加を表明した施設。得られた知見:79連携可能施設と50例以上の症例を運用し、再発症例はStage1術後1年目での肝再発1例のみで肝切除の治療を行えた。バリアンスは西日本に転居1例、脳梗塞で死亡1例以外にない。連携施設を癌と診断した紹介元に限定することで患者の不安は軽減され、連携パスを安心して受け入れられている。連携パス手帳への記載が癌診療に必要最低限の項目であり、書類作成等の負担が少ない事などから、導入に慎重な医師に受け入れられ適応症例数が増加してきた。大腸癌は男性に多いため連携手帳の持ち運びを考えるとポケットサイズで表紙は丈夫なものがよい。手帳紛失に備え、個人名を記載しないことも個人情報管理上重要である。運用には地域連携室や、連携先との定期的な意見交換も重要と思われる。
索引用語 大腸癌, 地域連携パス