セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法))1

タイトル 消P-599:

大腸癌化学療法施行後に血清鉄は上昇する-筋由来の可能性の検討-

演者 本告 成淳(化学療法研究所附属病院・内科)
共同演者 鵜梶 実(化学療法研究所附属病院・内科), 古瀬 純司(杏林大・腫瘍内科学)
抄録 目的:癌化学療法後に血清鉄が上昇するとの報告があるが、その理由は詳らかではない。我々は、JDDW2010において、大腸癌化学療法前後に血清鉄、Hb、間接ビリルビンを測定し、血清鉄上昇の原因について考察した結果を発表した。その要点は、(1)CPT-11、5-FU、oxaliplatinの3剤が化学療法後に血清鉄、間接ビリルビンを上昇させる、(2)血清鉄の上昇に相当する程度の貧血が生じている、である。この原因として、化学療法に伴い溶血が生じ、遊離したヘムがヘムオキシゲナーゼによって、遊離鉄、ビリベルジン(後にビリルビンとなる)、一酸化炭素となる過程を見ている可能性を指摘した。しかしヘムはミオグロビンにも含まれ、ここからヘムが一部供給されている可能性も否定できない。今回我々は、癌化学療法後に血清鉄が上昇する原因としてその血清鉄が筋から遊離している可能性について検討した。方法:ファーストライン化学療法を施行した手術不能進行再発大腸癌患者で、治療直前と、開始72時間後の2回採血できた9例を対象とした。少なくとも連続する3サイクルはデータがあるものを対象とした。検討項目は、レジメン、治療前後での血清鉄、Hb、間接ビリルビン、CPKである。成績:治療レジメンはmFOLFOX6±Bmab/Pmab 60サイクル、sLV5FU2±Bmab/Pmab 31サイクル、計91サイクルである。全患者全サイクルで治療前後の血清鉄の上昇を認めた。治療前後の血清鉄値は57.8±28.3μg/dL→210.7±88.1μg/dLであった。Hb値は11.33±1.12g/dL→11.26±1.06g/dLと低下、間接ビリルビン値は0.71±0.22mg/dL→1.12±0.49mg/dLと上昇した。CPK値は79.6±30.0IU/L→53.1±31.7IU/Lと低下した。結論:大腸癌化学療法と連動して血清鉄、間接ビリルビン値は上昇し、CPKの値は軽度低下する。CPK値は全身の筋量を反映するものと思われ、化学療法に伴い一時的に筋量が減少した可能性があるものと考える。癌化学療法が何らかの形でミオグロビンに影響を及ぼしここからもヘムが供給されているものと推定する。
索引用語 血清鉄, CPK