セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法))1

タイトル 消P-601:

大腸癌に対するBevacizumab併用化学療法における有害事象:消化性潰瘍について

演者 鈴木 一広(市立三沢病院・内科)
共同演者 棟方 正樹(青森県立中央病院・消化器内科), 太田 理恵(市立三沢病院・内科), 金城 貴彦(市立三沢病院・内科), 松本 吉史(市立三沢病院・内科), 津谷 亮佑(市立三沢病院・内科), 葛西 雅治(市立三沢病院・内科), 斎藤 聡(市立三沢病院・内科), 坂田 優(市立三沢病院・内科)
抄録 [はじめに]切除不能、再発大腸癌化学療法にBevacizumab(BV)併用化学療法が導入されその有効性が確認されている。しかしBV特有の有害事象が存在し、その中で消化管穿孔は重篤なものとして認知されているが、消化性潰瘍については詳細な報告はされていない。今回我々は、BV併用化学療法における有害事象としての消化性潰瘍について検討したので報告する。[対象]2007年6月より201年2月までにBVを投与された切除不能大腸癌症例46例。年齢中央値は64歳(範囲34-79歳)、PS 0-1。[結果]併用レジメンはmFOLFOX6 16例、5-FU/LV 9例、FOLFIRI 13例、S-1/CPT-11 6例、その他 2例。BV投与回数の中央値は12回(範囲1-68回)。CR 4例、PR 25例に認め、SD 3例、PD 12例、NE 2例であり、奏効率は63.0%。BVに関連したと考えられる有害事象として消化性潰瘍を3例(6.5%)に認めた。内訳は胃潰瘍1例、十二指腸潰瘍2例であり、十二指腸潰瘍の1例は同部の穿孔を併発した。治療は全例proton pump inhibitorを用いたが、いずれの症例も通常の良性潰瘍に比べ治癒遅延の傾向がみられた。穿孔を認めなかった十二指腸潰瘍の1例は、抗潰瘍治療開始後も潰瘍の増悪がみられ穿孔への進行の可能性を考え絶食、IVH管理とした。BVによる創傷治癒遅延と考えられた。[結語]BVの有害事象として出血、消化管穿孔、創傷治癒遅延、血栓塞栓症など、重篤となりうる特有の有害事象が認知されているが、消化性潰瘍の詳細な報告はされていない。今回我々はBV併用化学療法における有害事象として消化性潰瘍を3例(6.5%)に認めた。その内1例は消化管穿孔を併発、また全例に潰瘍治癒遅延の存在が示唆された。BV投与に際しては消化性潰瘍も注意すべき副作用の一つと考えられた。
索引用語 ベバシズマブ, 消化性潰瘍