セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法))2

タイトル 消P-602:

進行再発大腸癌化学療法における分子標的薬の役割

演者 永田 仁(獨協医大・2外科)
共同演者 高木 和俊(獨協医大・2外科), 石塚 満(獨協医大・2外科), 岩崎 喜実(獨協医大・2外科), 窪田 敬一(獨協医大・2外科)
抄録 進行再発大腸癌治療はFOLFIRIやFOLFOXが中心だが、分子標的薬併用時期は定まってない。大腸癌治療ガイドラインにおいても幾通りもの方法が示されているが、生存期間延長につながる組み合わせについては不明である。当科ではFOLFIRI、FOLFOXで2次治療までを行い、bevacizumabを併用。3次治療では抗EGFR抗体投与を行ってきた。【目的】bevacizumabの1次、2次治療での併用時期と3次治療での抗EGFR抗体の生存期間への影響について検討。【方法】2005年12月から2012年12月までに進行再発大腸癌に対して1次、2次治療でFOLFIRI、FOLFOXをともに用いて当科で治療を施行した154例中2次治療でPDとなった60例を対象としてbevacizumabの併用効果、3次治療での抗EGFR抗体の効果について検討を加えた。【成績】60例は男性40例、女性20例。原発巣は結腸が35例、直腸が19例。化学療法開始時年齢中央値は62歳で80歳以上は4例だった。対象臓器は肝転移35例、肺転移26例、腹膜播種20例、傍大動脈リンパ節転移7例、局所再発9例、遺残原発6例、その他6例だった。bevacizumab併用は41例で1次2次通じての併用が29例だった。抗EGFR抗体を3次治療で投与したのは18例で、うち15例はKRAS野生型、1例は変異型、2例は不明だった。16例はCPT-11と併用していた。bevacizumab併用あり41例の生存期間中央値は23.0ヶ月で、なし19例の13.8ヶ月と比較し有意に生存期間が延長していた(p=0.0041)。また、1次2次通じての併用29例の生存期間中央値は26.7ヶ月、1次もしくは2次のみ併用12例の18.0ヶ月だが有意差はなかった(p=0.8702)。抗EGFR抗体による3次治療の奏効率は35.3%で、2次治療でPD後の生存期間中央値は抗EGFR抗体併用18例の9.6ヶ月、併用なし42例の5.3ヶ月と比較して有意に延長していた(p=0.0194)。【結論】FOLFIRI、FOLFOXによる1次治療、2次治療へのbevacizumab併用により生存期間延長が認められるが、1次、2次通じての併用による明らかな効果は認められなかった。また、3次治療での抗EGFR抗体投与による生存期間延長が認められた。
索引用語 化学療法, 大腸癌