セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法))2

タイトル 消P-603:

大腸癌に対するBevacizumab併用化学療法における副作用:消化性潰瘍について

演者 中岡 宙子(秋田赤十字病院・消化器病センター)
共同演者 武藤 理(秋田赤十字病院・内科), 山野 泰穂(秋田赤十字病院・消化器病センター), 吉川 健二郎(秋田赤十字病院・消化器病センター), 木村 友昭(秋田赤十字病院・消化器病センター), 高木 亮(秋田赤十字病院・消化器病センター), 雨森 貞浩(秋田赤十字病院・消化器病センター), 奥宮 雅代(秋田赤十字病院・消化器病センター), 佐藤 健太郎(秋田赤十字病院・消化器病センター), 吉川 雅輝(秋田赤十字病院・消化器病センター外科)
抄録 【はじめに】Bevacizumab(以下BV) は血管内皮細胞増殖因子に対するモノクローナル抗体で、大腸癌等に対する分子標的治療薬として用いられている。その一方で特有の副作用として消化管穿孔、出血、創傷治癒遅延などが知られているが、消化性潰瘍についての報告は少ない。今回我々は、BV併用化学療法における消化性潰瘍の発症に関して検討したので報告する。【対象】2007年4月より2012年3月までにBV併用化学療法を施行した切除不能大腸癌症例94例について、BV併用化学療法中における消化性潰瘍の発症の有無、およびその患者背景について解析した。【結果】年齢中央値63歳(範囲28-84歳)、男62女32、PS0=68、PS1以上=26、結腸癌61例、直腸癌33例、1次治療46例、2次治療以降48例、BV投与回数中央値13回(1-38回)であった。併用レジメンはmFOLFOX6 67例、 S-1/CPT-11 9例、FOLFIRI 8例、5-FU/LV 7例。BV投与期間中の消化性潰瘍の合併は7例(7.4%)に認め、その内訳は胃潰瘍6例(活動性出血1例)、胃・十二指腸潰瘍1例で全例男性であった。BV投与回数中央値6回(2-25回)、併用レジメンはmFOLFOX6 6例、5-FU/LV 1例であった。1例で内視鏡的止血術を要し、入院治療を要したものは5例、BV投与休止とproton pump inhibitorの投与が行われ、潰瘍再発は認めなかった。性別、年齢、PS、ステロイド投与の有無、消炎鎮痛剤投与の有無、制酸剤投与の有無、消化性潰瘍の既往について消化性潰瘍の発症との関連を検討したが、性別のみ有意差を認めた。【結語】BV併用化学療法において消化性潰瘍発症を7.6% に認め、その多くは入院加療を要するGrade3の重篤度であった。BVの副作用では消化管穿孔0.9%、消化管出血2.0%、創傷治癒遅延0.9%が知られているが、消化性潰瘍も7.4%と少なくなく、注意すべき副作用に含めるべきと考えられ、報告した。
索引用語 Bevacizumab, 消化性潰瘍