セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(治療(化学療法))2

タイトル 消P-606:

抗腫瘍効果からみた切除不能・再発大腸癌に対する分子標的薬の位置づけについて

演者 渡辺 一裕(東京慈恵会医大柏病院・外科)
共同演者 河原 秀次郎(東京慈恵会医大柏病院・外科), 石山 哲(東京慈恵会医大柏病院・外科), 遠山 洋一(東京慈恵会医大柏病院・外科), 柳澤 暁(東京慈恵会医大柏病院・外科), 小村 伸朗(東京慈恵会医大・外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科)
抄録 【緒言】FOLFOX, FOLFIRIの抗腫瘍効果は高いが、さらなる効果を期待して分子標的薬の併用療法が行われるようになってきた。しかし日本における分子標的薬併用療法に関する報告例は少なくその効果は明確でない。我々は大腸癌多発肝転移に対してSOX (TS-1+L-OHP), XELOX (Capecitabine+L-OHP), SOX+bevacizumab (Bmab), SOX+cetuximab (Cmab), SOX+panitumumab (Pmab)を行った後、肝切除を施行した症例の肝転移巣の治療効果を比較し、分子標的薬の位置づけについて検討したので報告する。【対象および方法】2010年から2011年の2年間に大腸癌多発肝転移に対して化学療法を行い、その後肝切除術を施行した6例を対象とした。化学療法のregimenは、分子標的薬を使用しないSOX, XELOXが2例、分子標的薬を併用したSOX+Bmab (1例)、SOX+Cmab (1例)、SOX+Pmab (2例)は計4例であった。1クールが3週間で4クール(3カ月間)施行後、肝切除術を施行し、肝転移巣に対する効果をCTと切除標本の病理組織で比較検討した。Cmab,Pmab使用症例はK-ras wild typeであった。【成績】SOX, XELOXを施行した2例はCT上ほぼCRであったが、外科切除標本には病巣が確認できた。切除標本の病理組織学的検索では、肝転移巣の腫瘍細胞がびまん性に減少していた。SOXに分子標的薬(Bmab, Cmab, Pmab)を併用した4例では、CT上はNCであったが内部構造が均一化した病巣に変化していた。切除標本の病理組織学的検索では、肝転移巣の内部から急速な腫瘍細胞壊死が生じ、肝転移巣の辺縁にわずかに腫瘍細胞がみられた。【考察】分子標的薬(Bmab, Cmab, Pmab)の上乗せ効果はCT上明瞭ではなかったが、病理組織学的には十分に確認できた。【結語】SOXに分子標的薬(Bmab, Cmab, Pmab)を併用すると肝転移巣の内部から急速な腫瘍細胞壊死が生じるため、conversion therapyを狙うための有用性が示唆された。
索引用語 分子標的薬, 大腸癌