セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)1

タイトル 消P-607:

抗菌薬投与を行った直腸MALTリンパ腫の4例

演者 吉澤 和哉(山形大・消化器内科)
共同演者 武田 弘明(山形県立中央病院・内科), 水本 尚子(山形大・消化器内科), 矢尾板 孝夫(山形大・消化器内科), 岩野 大輔(山形大・消化器内科), 佐々木 悠(山形大・消化器内科), 名木野 匡(山形大・消化器内科), 佐藤 剛司(山形大・消化器内科), 西瀬 祥一(山形大・消化器内科), 鈴木 康之(山形県立中央病院・内科), 藤嶋 昌一郎(山形県立中央病院・内科), 深瀬 和利(山形県立中央病院・内科), 上野 義之(山形大・消化器内科)
抄録 【緒言】直腸MALTリンパ腫(本症)は何らかの病原微生物が発症に関与する可能性が示唆されている。当院ではヘリコバクターピロリ(HP)除菌だけでなく倫理委員会の承認を経て本症にアモキシシリン・テトラサイクリン・メトロニダゾール併用(ATM療法)も試みている。抗菌薬投与を行った4例を報告する。
【症例1】75歳、女性。2004年12月の大腸内視鏡検査(CS)でRbの隆起を認め、生検で本症と診断した。翌1月の骨髄穿刺で浸潤、MRIで骨盤内リンパ節腫大を認めLugano国際会議分類IV期と判断し、HP除菌療法を行った。3月のCSで病変は縮小したが残存したため、ATM療法を試みたところ4月には生検でも本症は認めず経過観察中である。
【症例2】76歳、女性。2008年8月のCSでRbの複数あるSMTの1つを内視鏡的に切除し本症と診断した。9月のCTでは転移を認めずI期と判断し、HP 除菌療法を行った。11月の生検では本症は認めなかったが、翌2月にSMTが再出現し生検で本症と診断された。3月にATM除菌療法を行ない、5月のCSでは生検でも本症は認めず経過観察中である。
【症例3】77歳、女性。2010年4月のCSでRsの隆起を認め、生検で本症と診断した。5月のPET/CTでは転移を認めずI期と判断し、6月にATM除菌療法を行ない、10月のCSでは生検でも本症は認めず経過観察中である。
【症例4】45歳、女性。2011年4月より粘血便が続き、5月のCSで直腸の凹凸を認め、生検で本症と診断された。6月にHP除菌を行い7月のCSでは変化を認めず、当科紹介となった。PET/CTでは転移を認めずI期と診断した。当科で7月にCSを行ったところ病変の縮小を認め生検でも本症は認めず、9月のCSでは消失し経過観察中である。
【結論】直腸MALTリンパ腫4例に対して抗菌薬投与を行い全例に病変の消失を認めた。HP除菌での無効例や再発例においても、ATM除菌療法は本症の治療に有効である可能性が示唆された。
索引用語 直腸MALTリンパ腫, 抗菌薬