セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)1

タイトル 消P-609:

大腸EMSの3例

演者 佐野 逸紀(網走厚生病院・内科・消化器科)
共同演者 松田 可奈(網走厚生病院・内科・消化器科), 川岸 直樹(網走厚生病院・内科・消化器科), 阿部 暢彦(網走厚生病院・内科・消化器科), 長 いく弥(網走厚生病院・内科・消化器科), 小野寺 学(網走厚生病院・内科・消化器科), 内田 多久實(網走厚生病院・内科・消化器科), 藤永 明(網走厚生病院・内科・消化器科)
抄録 【はじめに】近年,大腸癌による消化管狭窄に対してEMS(Expandable Metallic Stent)の留置が保険適応とされ,その有用性が報告されている.今回我々は良悪性疾患による大腸狭窄に対してEMSを留置し,QOLの改善を得た3症例を経験したので報告する.【対象/方法】対象は手術不能もしくは人工肛門を伴う手術の代わりに狭窄を解除する治療を要する患者で,患者もしくは家族に同意を得られた症例である.全例に内視鏡直視下でWallFlex Duodenal Stent(BostonScientific社製)を留置した.【症例】症例1. 93歳,女性.腫瘍マーカー高値の精査で直腸癌を認めたが,高齢であり治療の希望もなかったことから経過観察としていた.診断より18ヶ月後に狭窄症状が出現し,腹部CT検査で直腸癌による腸閉塞の所見を認めたため,Rsの狭窄に対してEMS( 22×90mm)を留置した.留置後は通過障害は改善し,66日目に永眠された.症例2.72歳,男性.膵体部癌,癌性腹膜炎で緩和療法に移行していた.診断より2年4ヶ月後に狭窄症状が出現し,下行結腸に腹膜播種の浸潤による狭窄を認めたため,経肛門的イレウスチューブを留置した.同部位にEMS(22×90mm)を留置後,通過障害は改善し,留置後71日目に永眠された.症例3. 75歳,男性.直腸癌術後吻合部狭窄を認めていたが,再吻合は困難で外科的治療では人工肛門造設となるため,狭窄部に対して8年間で計7回のバルーン拡張を繰り返していた.しかし徐々に再拡張までの期間が短くなってきたため,患者と話し合い,狭窄部に対してEMS(22×60mm)を留置した.留置後100日経過しているが腸閉塞の再発は認めていない.【考察】3例の留置期間は平均76日(66-100日)であり,全例で閉塞はみられなかった.また出血や穿孔,逸脱といった合併症もなく,死亡2例についても死亡するまで閉塞なく経過しており緩和治療として奏功した.【結語】大腸狭窄に対してのEMS留置は3例で有効であった.今後の症例の蓄積が望まれる.
索引用語 大腸狭窄, ステント