セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)1

タイトル 消P-610:

虫垂粘液嚢胞腺癌の2例

演者 嘉山 貴文(磐田市立総合病院・消化器外科)
共同演者 宇野 彰晋(磐田市立総合病院・消化器外科), 村上 智洋(磐田市立総合病院・消化器外科), 片橋 一人(磐田市立総合病院・消化器外科), 神藤 修(磐田市立総合病院・消化器外科), 深澤 貴子(磐田市立総合病院・消化器外科), 松本 圭五(磐田市立総合病院・消化器外科), 落合 秀人(磐田市立総合病院・消化器外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院・消化器外科), 北村 宏(磐田市立総合病院・消化器外科)
抄録 虫垂粘液嚢腫は虫垂内腔に粘液が貯留し嚢胞状に拡張した状態であり、比較的まれな疾患である。特徴的な症状はなく、偶然発見されることが多く、良悪性の術前診断も困難である。また虫垂粘液嚢腫は嚢胞腺腫と嚢胞腺癌に分類され、腹膜偽粘液腫の一因となることが知られている。今回われわれは無症状の虫垂粘液嚢腫の2例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例1】73歳男性。検診の胸部Xpで右中肺野の結節影を指摘され、肺腫瘍が疑われ当院呼吸器内科を受診した。精査の胸腹部CTで壁の石灰化を伴う20cm大のソーセージ様の嚢胞性腫瘤を右下腹部から骨盤内に認めた。また大腸内視鏡および注腸検査で、盲腸に粘膜下腫瘍様隆起を認めた。虫垂粘液嚢腫を疑ったが、悪性である可能性も否定できず、回盲部切除術を施行した。摘出標本では約20cmの嚢胞状に腫大した虫垂を認め、ゼリー状粘液を伴う嚢胞性腫瘍であった。粘液のCEAは47707ng/mlと高値であった。病理組織学的に粘膜にhyperplasiaおよびadenomaの上皮増殖病変が部分的に遺残し、虫垂壁に膠原繊維硝子化、石灰化、リンパ濾胞が散在し、悪性所見は認めず、粘液嚢胞腺腫と診断した。また術前には5.4ng/mlであったCEAは術後1.8 ng/mlに低下した。【症例2】66歳男性。当院消化器内科で原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、食道静脈瘤に対して加療中であり、精査の腹部CTで回盲部背側に嚢胞性腫瘤を認め、虫垂腫瘍が疑われた。3か月後に再検した腹部CTでは腫瘍の増大、播種を疑う結節を認め、CEA7.5ng/mlと上昇を認めたため、虫垂嚢胞腺癌を疑い、回盲部切除を施行した。摘出標本は13cmの嚢胞性腫瘍で内部は白色ゼリー状の粘液で充満していた。病理所見では固有筋層に浸潤する粘液産生の盛んなmucinous adenocarcinomaの増殖が認められ、低分化腺癌、印環細胞癌も混在していた。ly+、v-であり、リンパ節転移も認め、fStageIIIであった。現在外来にてフォローアップ中である。。
索引用語 虫垂粘液嚢腫, 虫垂粘液嚢胞腺癌