セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)1

タイトル 消P-612:

当院における抗生剤起因性出血性大腸炎12例の臨床的検討

演者 岡 昌平(津山中央病院・消化器・内視鏡センター)
共同演者 竹本 浩二(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 濱田 健太(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 山崎 泰史(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 竹中 龍太(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 平良 明彦(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 柘野 浩史(津山中央病院・消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院・消化器・内視鏡センター)
抄録 【目的】抗生剤起因性腸炎には、出血性大腸炎、偽膜性腸炎、MRSA腸炎がある。その中でも抗生剤起因性出血性大腸炎は現在では比較的稀な疾患であり、多数例の報告は少ない。【方法】2000年10月~2012年3月までに当院で下部消化管内視鏡検査を施行した抗生剤起因性出血性大腸炎12例について年齢、性別、基礎疾患、主訴、起因性抗生剤、症状出現までの日数、WBC、CRP、Hb、内視鏡所見、病理所見、便培養、症状が軽快(血便、腹痛が消失)するまでの日数について検討した。【成績】平均年齢は41.9歳(17~74歳)、性別は男性7例、女性5例、基礎疾患を有する症例は12例中4例のみであった。主訴は12例中12例とも下痢、腹痛、血便であった。起因する抗生剤はペニシリン系8例、ニューキノロン系3例、セファロスポリン系1例であった。抗生剤内服後症状出現までの日数は7.1±1.1日、WBC:12600±3280 /m3、CRP:1.6±2.2 mg/dl、Hb:14.2±1.2 g/dl、内視鏡所見は全例で結腸に発赤、浮腫を認めたが、潰瘍所見は認めなかった。炎症の部位は、上行結腸~下行結腸が4例、横行結腸が3例、上行結腸~横行結腸が3例、盲腸~下行結腸が1例、上行結腸~S状結腸が1例であった。病理組織所見は全例に炎症細胞浸潤、粘膜固有層の鬱血及び出血を認めた。便培養は施行している9例中7例にKlebsiella oxytocaを認めた(尚、いずれの症例も結腸の生検培養では有意な起因菌は指摘されず)。治療は全例で保存的加療を行い全例軽快、症状改善までの日数は4.5±1.1日であった。【結論】抗生剤起因性出血性大腸炎は基礎疾患のない比較的若年者に多く認め、起因する抗生剤はペニシリン系が多数であった。内視鏡所見は横行結腸を中心に発赤、浮腫を認め、便培養ではKlebsiella oxytocaを認める症例が多数であった。
索引用語 抗生剤起因性出血性大腸炎, Klebsiella oxytoca