セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)2

タイトル 消P-613:

腸重積を来した盲腸癌に対して腹腔鏡下腸切除を施行した2例

演者 尾曲 健司(国立栃木病院・外科)
共同演者 橋本 健夫(国立栃木病院・外科), 田村 明彦(国立栃木病院・外科), 服部 俊昭(国立栃木病院・外科), 松井 芳夫(国立栃木病院・外科), 西川 眞史(国立栃木病院・病理), 勝又 貴夫(国立栃木病院・外科)
抄録 成人腸重積は小児に比べ頻度は低く稀な疾患である。大腸癌による腸重積に対し腹腔鏡下手術を行った報告は散見される程度であり、今回当科で経験した盲腸癌を先進部とする腸重積2例について報告する(症例1)50代女性.受診2か月程前から右下腹部痛を認め当院受診。臍部に10cm大の腫瘍を触知し精査目的に入院。腹部CT検査:上行結腸に横断面で同心円状の多層構造(multiple concentric ring sign)。大腸内視鏡検査:盲腸に5cm大の桑の実状のポリープ(生検:腺腫)。精査中に腸重積は自然整復され待機的に腹腔鏡下回盲部切除を施行。術中所見では軽度の腸重積状態となっていた。病理診断はcancer in adenoma、pap,pSM,ly0,v0,pN0。(症例2)30代男性.受診1年前から月に1-2回程度、腹部腫瘤と腹痛。症状の頻度が増加し近医受診し腹部超音波検査にてtarget signを認め、腸重積の疑いにて当院緊急入院。腹部 CT 検査:脾彎曲にmultiple concentric ring sign。下部消化管造影検査:左側横行結腸で造影剤は途絶し、蟹爪様の所見を呈し, 加圧にても腸重積は解除されず。重積腸管の還納が困難と判断し、診断も兼ね腹腔鏡下腸切除を施行。術中所見では上行結腸が横行結腸に嵌まり込んで腸重積となっており、愛護的に整復を施行したが上行結腸付近で困難となり、腸重積の腸管ごと授動を行い、整復および腸切除は小開腹下にて施行。重積部を肛門側から口側に押し出すように力を加え陥入した腸管を押し戻した(Hutchinson手技)。盲腸および上行結腸に腫瘍を触れ、上行結腸に著明な浮腫と狭窄を認めた。同部位により整復が困難となったと判断した。病理診断は、盲腸のIsp、40×3mm,tub1,pSM(head invasion),ly0,v0,pN0。過去の報告例では、成人腸重積症は重積と自然整復を繰り返す例が多く、待機的または準緊急的に手術となっているが、腸重積を来す盲腸癌の7割はStage0-IIであり、手術により治癒切除可能な症例が多い。その特徴・治療法を含め、検討し報告する。
索引用語 腸重積, 腹腔鏡