セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)2

タイトル 消P-614:

保存的に治癒し得た壊死型虚血性腸炎の4例

演者 財間 千景(大津赤十字病院・消化器科)
共同演者 曽我部 裕子(大津赤十字病院・消化器科), 西田 吉宏(大津赤十字病院・消化器科), 稗田 信弘(大津赤十字病院・消化器科), 垣内 伸之(大津赤十字病院・消化器科), 松永 康寛(大津赤十字病院・消化器科), 水口 綾(大津赤十字病院・消化器科), 安村 聡樹(大津赤十字病院・消化器科), 日高 健太郎(大津赤十字病院・消化器科), 長谷川 和範(大津赤十字病院・消化器科), 本庶 元(大津赤十字病院・消化器科), 近藤 雅彦(大津赤十字病院・消化器科), 西川 浩史(大津赤十字病院・消化器科), 三宅 直樹(大津赤十字病院・消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院・消化器科)
抄録 保存的治療で軽快した壊死型虚血性大腸炎(GIC)の4例を経験したので報告する。【症例1】80歳代女性, 排便時意識消失発作にて当院搬送. 来院時ショックバイタルで腹膜刺激症状を認め、著明なアシドーシス、白血球数, LDH、AMYの上昇、DIC徴候を認めた。腹部CT検査で左側結腸の壁肥厚と腹水貯留を認めた。GICと診断、年齢、全身状態等から手術困難と判断、保存的治療を行った。病変部に狭窄を残したが通過障害は認めず、第69病日軽快退院した。【症例2】80歳代男性, 下腹部痛にて当院搬送. 来院時ショックバイタルで、AMYの上昇を認めた。腹部CT検査で左側結腸の壁肥厚、造影不良と腹水貯留を認めた。GICと診断、全身状態不良で手術困難と判断、保存的治療を行った。第24病日軽快退院した。【症例3】70歳代女性,便秘症, 高血圧の既往あり. 排便時,の一過性意識消失、嘔吐, 腹痛, 血便を主訴に当院搬送. 発熱,腹膜刺激症状を認め、LDH, AMYの上昇, 腹部CT検査では横行結腸から下行結腸に著明な壁肥厚と腹水貯留を認めた. GICと診断,保存的治療を行った。第27病日軽快退院となった.【症例4】70歳代女性,強い腹痛の後,嘔吐、下痢、血便を認め当院搬送. 来院時、腹膜刺激症状は認めなかった.白血球数, LDHの上昇を認めた。CS施行したところ下行結腸に全周性の粘膜壊死と高度の浮腫を認め, GICと診断した.手術適応も考慮したが腹部症状がほぼ消失し,アシドーシスを認めなかったため保存的治療とした.入院後経過良好で第13病日軽快退院となった. 【考察】GICは不可逆的変化を伴う予後不良の疾患で、一般的な虚血性大腸炎とは区別し、非閉塞性腸管虚血(NOMI)の一群として扱われる傾向にある。年齢や基礎疾患、全身状態等から、緊急手術に踏み切る判断に迷う症例が多いのも事実である。今回の4症例に文献的考察も交えて、保存的治療で経過を見得るGICの特徴につき検討を加え報告する.
索引用語 壊死型虚血性大腸炎, NOMI