セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)2

タイトル 消P-615:

SMAD4変異が証明された若年性ポリポーシス・ 遺伝性出血性末梢血管拡張症複合症候群の1例

演者 板井 良輔(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科)
共同演者 住友 靖彦(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 山下 幸政(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 小野 洋嗣(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 山田 聡(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 松本 善秀(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 木村 佳人(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 高田 真理子(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科), 三上 栄(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科)
抄録 【症例】47歳、男性【主訴】貧血【既往歴】2歳時より気管支喘息。中学生時より頻回に鼻出血を認めた。【家族歴】母:幼少時より鼻出血を認め、鼻腔に毛細血管拡張を認める。腹部大動脈瘤、胸部大動脈解離、上腸間膜動脈瘤破裂に対する手術歴あり。【現病歴】2009年2月検診で胸部異常影を指摘され、精査目的で当院を受診した。胸部CT、MRI検査にて右肺動静脈奇形を認めた。また口唇および鼻腔に血管拡張を認め、診断基準を満たし遺伝性出血性末梢血管拡張症複合症候群(HHT)と診断された。一方、血液検査で貧血を認めたため、消化管出血を疑い上下部消化管内視鏡検査を施行したところ、胃には毛細血管拡張が散在していた。また上行結腸から直腸にかけて表面発赤調の有茎性および亜有茎性のポリープを10個以上認め、出血の原因と考えられるポリープに対してEMRを施行した。病理組織所見は上皮に異型性を認めず、間質の浮腫と細胞浸潤を認め、嚢胞状に拡張した腺管を伴っており、若年性ポリープと診断した。若年性ポリープを5個以上認めたため若年性ポリポーシス(JP)と診断した。そこで若年性ポリポーシス・ 遺伝性出血性末梢血管拡張症複合症候群(JP-HHT)の原因遺伝子であるSMAD4の変異解析を行ったところ、コーディングDNA配列の4塩基の欠失を認めた。なおHHTのその他の原因遺伝子であるENG、ACVRL1には変異を認めなかった。【考察】HHTはかつてOsler病と呼ばれた、常染色体優性遺伝、皮膚粘膜や内臓の多発性末梢血管拡張、反復する出血を3主徴とする多臓器疾患であり、責任遺伝子は前述の3つが同定されている。本邦においてJPとHHTの合併例は1例報告されているが、さらにSMAD4変異が証明された症例の報告はみられない。非常に稀な症例を経験したため、文献的考察を加え報告する。
索引用語 若年性ポリポーシス・ 遺伝性出血性末梢血管拡張症複合症候群, SMAD4