セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
大腸(症例報告)2
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タイトル |
消P-616:腸管出血性大腸菌O-111による細菌性腸炎の1例
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演者 |
榛澤 崇(仙台市立病院・消化器内科) |
共同演者 |
菊地 達也(仙台市立病院・消化器内科), 関根 仁(仙台市立病院・消化器内科), 境 吉孝(仙台市立病院・消化器内科), 川村 昌司(仙台市立病院・消化器内科), 長崎 太(仙台市立病院・消化器内科), 高井 智(仙台市立病院・消化器内科) |
抄録 |
【症例】18歳男性【主訴】腹痛、血便【現病歴】ユッケ摂食後4日目に心窩部痛が出現し、その後血便を来した。翌日も症状が続き近医を受診し、整腸剤、解熱鎮痛剤を処方され帰宅した。摂食後7日目症状の改善が得られず前医を受診し、精査加療目的に当院に紹介され同日入院となった。【経過】CTで腹水と右側結腸の著明な浮腫がみられた。細菌性腸炎と考え、摂食後7日目(第1病日)より抗生剤CPFX 600mg/dayを開始した。腹痛が持続し、採血上は血小板数の低下と貧血の進行、顕微鏡下に破砕赤血球が観察された。第6病日に提出した血清検体にて腸管出血性大腸菌O-111血清抗体が検出されO-111による感染性腸炎、それに起因する溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断した。同日の採血ではa disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondine type 1 motifs 13 (ADAMTS-13) が40%、血小板1.6万と低下を認めた。出血のリスクが高く透析は施行せず、特発性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療に準じ新鮮凍結血症(FFP)を補充した。翌日、血小板数の改善とLDH、クレアチニン値の改善を得た。その後、一時的に急性呼吸窮迫症候群(ARDS)により呼吸抑制を生じ人工呼吸器管理となるも、データと症状の改善みられ、第14病日抜管した。以後経過良好であり第28病日後遺症を残さず退院となった。【考察】HUS合併O-111腸炎の1例を経験した。初期はウイルス性腸炎や他の炎症性腸疾患と鑑別が困難であるが、O-111やO-157はHUSを合併し重篤な経過をとるため注意が必要である。本症例はTTPの治療に準じFFP補充を行ったところ血小板数の改善を得た。FFP中の成分であるADAMTS-13の補充に効果があった可能性があるが今後更なる症例の積み重ねが必要と考えられる。 |
索引用語 |
O-111, HUS |