セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(症例報告)2

タイトル 消P-617:

潰瘍性大腸炎を契機に発症した好酸球症候群による膵炎の一例

演者 中崎 奈都子(関東労災病院・消化器内科)
共同演者 金子 麗奈(関東労災病院・消化器内科), 大石 千歳(関東労災病院・消化器内科), 金 民日(関東労災病院・消化器内科), 椎名 正明(関東労災病院・消化器内科), 草柳 聡(関東労災病院・消化器内科), 小川 正純(関東労災病院・消化器内科), 佐藤 譲(関東労災病院・消化器内科)
抄録 【症例】15歳 男性【現病歴】13歳から下痢を繰り返し、小児科で心因性下痢として保存加療されていた。15歳になり腹痛と血便を認めたため紹介となった。【経過】大腸内視鏡にて潰瘍性大腸炎(以下UC)の診断となり、メサラジン2000mg/dayを投与開始後速やかに症状は改善した。しかし投与後第21病日で強い心窩部痛と下痢の増悪を認め、AMY 200IU/l、CT上膵腫大・腹水貯留を認め急性膵炎の診断となった。メサラジンによる副作用と考え同剤を中止、内科的に膵炎治療を行い、UC増悪に対してはLCAP施行、改善を認めたため退院とした。退院後6日目に再度心窩部痛と血便が出現、AMY 519 IU/l、WBC 7800(EOSINO8.9%)/μlであり、膵炎再発とUC増悪として入院。メサラジン中止下であったこと、メサラジンに対するDLSTが陰性であったことから薬剤性膵炎の可能性は低いと考えメサラジン内服と注腸を開始した。膵炎に対し保存的加療をしたが発熱、炎症反応は増悪しeosinophiliaは最高15.2%まで上昇した。またメシル酸ガベキサートを静注する血管は、投与直後に静脈炎を次々に起こし、アレルギー機序が亢進しているものと考えた。腹痛・下痢とも改善を認めず第4病日よりガベキサートを中止、ステロイドパルス療法を行い、UC、急性膵炎、eosinophiliaともに軽快した。その後プレドニン20mg内服より漸減し、現在はステロイドから離脱している。【考察】炎症性腸疾患は一次的、二次的に急性膵炎を合併する報告は多数ある。しかしDLSTが陰性、薬剤の再投与で膵炎が発症しないことから薬剤性膵炎とは考え難く、またIgG、IgG4も正常値であり自己免疫性膵炎の可能性も低いと思われた。本例は潰瘍性大腸炎を契機に発症した好酸球症候群の一環として急性膵炎を発症したものと考えた。同様の報告はこれまで無いため報告する。
索引用語 好酸球, 潰瘍性大腸炎