セッション情報 シンポジウム9(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

消化器がん検診における新しい診断法の展開

タイトル 内S9-9:

多施設共同臨床試験Japanese National CT Colonography Trial(JANCT)による大腸3D-CTの精度検証

演者 永田 浩一(マサチューセッツ総合病院・ハーバードメディカルスクールDELIMITER大腸3次元CT研究会)
共同演者 吉田 広行(マサチューセッツ総合病院・ハーバードメディカルスクールDELIMITER大腸3次元CT研究会), 遠藤 俊吾(大腸3次元CT研究会DELIMITER福島県立医大・会津医療センター準備室)
抄録 【目的】欧米では大規模臨床試験によるエビデンスに基づき、大腸がん検診目的の大腸3D-CT(CT colonography)が急速に広まっている。本邦では大腸がん死亡率が今なお高いため、新たな大腸がん検査法である大腸3D-CTの柔軟な活用も視野に入れる必要がある。本邦に大腸3D-CTを本格的に導入するためには日本発の精度検証が必要不可欠であることから、多施設共同臨床試験JANCT(UMIN2097, NCT997802)を実施した。【方法】2009年9月から2011年8月の期間に全国の13施設と海外1施設にて本試験を実施した。大腸内視鏡(OC)適応のある患者1260名(女性548名、男性712名、平均年齢60.7歳)を対象とし、消化器内視鏡専門医が行ったOCをゴールドスタンダードとして大腸3D-CTの精度評価を行った。Primary endpointとして6mm以上の大腸ポリープ・大腸癌に対する患者別感度を、またsecondary endpointsとして大腸3D-CTによる6mm以上の大腸ポリープ・大腸癌の検出精度(特異度、陽性適中率、陰性適中率)などを用いた。大腸3D-CTの前処置はPEG-C法(ニフレック+水溶性造影剤)とし炭酸ガス自動注入器を使用した。99.3%の症例で鎮痙剤を使用しなかった。読影はAZEワークステーションにて2次元・3次元画像の両方とコンピュータ支援診断(CAD)を活用したが、大腸展開像は使用しなかった。【成績】6mm以上の大腸ポリープ・大腸癌に対する患者別の感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率は、それぞれ87%、92%、79%、95%であった。10mm以上の大腸ポリープ・大腸癌に対する患者別の感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率は、それぞれ91%、98%、89%、98%であった。さらに消化器科医と放射線科医の読影成績の比較とCADの読影成績への影響にも言及したい。【結論】大腸3D-CTの6mm以上の大腸ポリープ・大腸癌に対する検出精度は先行する欧米の臨床試験と同様に高く、有用な大腸癌の精検法の一つとなる可能性が示された。
索引用語 大腸3D-CT, CT colonography