セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

大腸(機能性疾患)

タイトル 消P-621:

非便秘者におけるモサプリドクエン酸塩の大腸通過時間への影響に関する検討

演者 味村 俊樹(高知大附属病院・骨盤機能センター)
共同演者 福留 惟行(高知大・1外科), 駄場中 研(高知大・1外科), 岡本 健(高知大・医療管理学), 小林 道也(高知大・医療管理学), 花崎 和弘(高知大・1外科)
抄録 【背景と目的】モサプリドクエン酸塩(以下、モサプリド)は,慢性胃炎に伴う消化器症状に対する消化管運動機能改善薬であるとともに,その5-HT4受容体刺激薬としての作用機序から大腸蠕動運動促進作用も認められている.しかし,大腸運動機能に対するモサプリドの影響に関してヒトを対象に調べた研究は少ない.今回,非便秘者を対象にSITZMARKSを用いてモサプリドの大腸運動機能への影響を検討した.
【対象と方法】RomIIIに基づく便秘症状の無い20歳以上男性10例と40歳以上女性10例を対象に,モサプリド非内服時と内服時の間で,SITZMARKS遺残個数と排便回数をcross-over法で比較した.男性では検査1回目に,1日目の10,16,22時にSITZMARKS1Cap(マーカー20個含有)ずつ内服した上で2日目の10時に腹部単純X線検査(以下,腹XP)施行し,検査2回目に,SITZMARKS内服と腹XPは検査1回目と同じだが,1日目の10,16,22時にモサプリド錠(5mg)を1錠ずつ計3錠内服した.女性では検査1回目に,1日目,2日目,3日目の10時SITZMARKS1Cap内服した上で4日目の10時に腹XP施行し,検査2回目に,SITZMARKS内服と腹XPは検査1回目と同じだが,1~3日目の3日間の10時,16時,22時にモサプリド錠(5mg)を1錠ずつ計9錠内服した.
【結果】男性10例の年齢中央値は47歳(範囲:25~62歳)で,SITZMARKSマーカー総60個内服後の遺残個数は,モサプリド非内服時と内服時で有意差を認めず(中央値37.5 vs. 43個,P=0.65),排便回数にも有意差がなかった(2回/日 vs. 2回/日,P=0.37).女性10例の年齢中央値は46.5歳(範囲:40~55歳)で,SITZMARKSマーカー総60個内服後の遺残個数は,モサプリド非内服時と内服時で有意差を認めず(中央値20 vs. 19個,P=0.28),排便回数にも有意差がなかった(3.5回/日 vs. 5回/日,P=0.16).
【結語】非便秘者では,モサプリドによる大腸蠕動運動促進作用は認められなかった.
索引用語 便秘, モサプリドクエン酸塩